Rapidus 千歳で工場の起工式 先端半導体の国産化へ

国の支援のもと、先端半導体の国産化を目指す「Rapidus」は、千歳市に建設する新工場の起工式を行い、4年後の量産化に向けて本格的に始動しました。

Rapidusは、自動運転やAI=人工知能など大量のデータを瞬時に処理する分野に欠かせない先端半導体の国産化を目指し、トヨタ自動車やNTT、ソニーグループなどが出資して去年、設立されました。
千歳市にある新工場の建設予定地で1日起工式が行われ、小池淳義社長や西村経済産業大臣、鈴木知事など関係者が出席し、くわ入れをして工事の安全を祈願しました。
この会社は、世界で実用化されていない回路の幅が2ナノメートル以下の先端半導体の量産化を目指しています。
新工場では▽2025年に試作ラインを作り、▽2027年ごろの量産化を目指していて、国もこれまでに3300億円の支援を行うことを決めています。
一方、韓国のサムスンや台湾のTSMCも2ナノメートル以下の先端半導体の実用化を目指していて、開発のスピードが競争の鍵となります。
また、量産化にあたっては、精密な製造装置への投資などに巨額の費用が必要なうえ、開発や製造のノウハウを持つ技術者などの確保や育成が課題となっていて、会社は欧米の企業や研究機関と連携しながら、実現を目指す方針です。
【鈴木知事は】
鈴木知事は、記者会見で「きょうは大きな一歩を踏み出すことができた。研究と人材育成の複合的な拠点で絶えず人材を生み出すことが実現できれば非常に大きなインパクトになる。国内外から多くの人が北海道を目指し、活躍できる環境が生まれることで道全体に効果を波及させるという目標を現実に変えていきたい」と述べました。
【地元・千歳市の横田隆一長は】
千歳市の横田隆一市長は記者会見で、「きょう9月1日は千歳市にとって新たな未来を作る転換点になるという気持ちだ。立地表明していただいた2月以降、市もタイトなスケジュールの中、取り組んできた。これからも急ピッチで進むが、工場の建設、操業に向けて受け入れ環境やインフラの整備など、国や道だけでなく周辺自治体や民間の力を借りながら、半導体製造拠点として経済振興の役割を果たせるようこれからさらに1段階ギアを上げて取り組んでいきたい」と述べました。
【Rapidusの小池淳義社長は】
起工式のあとRapidusの小池淳義社長は、記者会見を行い、「いま、まさに千載一遇の機会だと考えている。きょうの起工式では、心を新たにして全力を尽くしていくことを改めて誓った次第だ。国際的な連携を進めて世界中から優秀な人たちを集めたい」などと述べ、欧米の研究機関や企業などと連携しながら、人材の確保に努め、会社の成長につなげていくと強調しました。
【西村経済産業大臣は】
西村経済産業大臣は、起工式を受けて記者団に対して、「プロジェクトが具体的に動き始めたことを非常にうれしく思っている。起工式を契機に、いっそう力を合わせる機会になったと考えている」と述べました。
そのうえで、「経済産業省としても関係者との連携を一層強化しながら必要な支援を着実に実施をしたい」として、引き続き、先端半導体の実用化に向けて、必要な支援を行っていくと強調しました。
【海外の研究機関も支援の方針】
先端半導体の国産化を目指す「Rapidus」の新工場の起工式にあわせて、西村経済産業大臣は半導体関連の欧米の研究機関や装置メーカーの幹部らと相次いで会談しました。
研究機関からは技術者の受け入れなど具体的な支援を行いたいとする方針が示されました。
西村経済産業大臣は新工場の起工式に先立ち、千歳市で会社と提携関係にあるベルギーの半導体関連の研究機関の「imec」や、半導体製造装置メーカーのオランダの「ASML」、アメリカの「ラムリサーチ」の幹部らと相次いで会談しました。
会談の中で、先端半導体の開発に欠かせない回路の幅をできるだけ細くする技術に強みを持つimecからは、来年からRapidusの技術者を本格的に受け入れたり、北海道に技術者を支援する拠点を設けたりするなどの方針が示されたということです。
またラムリサーチからは先端半導体の製造装置のメンテナンスなどを行うサポート拠点を北海道に設ける考えが明らかにされました。