中国禁輸措置撤廃に向け国に緊急要請 鈴木知事

東京電力福島第一原発の処理水の放出をめぐり、中国が日本からの水産物の輸入を全面的に停止すると発表したことを受けて、鈴木知事は、25日、国に対し、禁輸措置の撤廃に向けた外交上の働きかけなどを求める緊急の要請を行ったことを明らかにしました。

東京電力福島第一原発にたまる処理水の海への放出が24日から始まったことを受けて、中国は日本を原産地とする水産物の輸入を全面的に停止すると発表しました。
これについて、鈴木知事は、記者会見で「科学的根拠に基づくものではなく、道内にも大きな影響が懸念され、受け入れられない」と述べました。
その上で、25日、国に対し、▽禁輸措置の撤廃に向けて外交上の働きかけをすみやかに行うことや、▽漁業者や流通・加工業者の損失には責任をもって対応することなどを求める緊急の要請を行ったことを明らかにしました。
また、道は、漁業者や水産加工業者など、処理水の放出や中国の禁輸措置による影響が懸念される人を対象に、被害などの相談を受けるための専用の窓口を設置しました。
鈴木知事は「道内の食品の輸出額に占める中国の割合は大きいので、実態を把握しながら、漁連などともしっかり連携して対策についても検討していきたい」と述べました。
【中国の禁輸措置に漁業者は懸念】
東京電力福島第一原発にたまる処理水の海洋放出を受け、中国が日本産の水産物の輸入を全面的に停止すると発表したことについて、道南の森町で中国向けのホタテを扱っている漁業者からは強い懸念の声が上がっています。

森町の砂原漁港は、ホタテの養殖が盛んな噴火湾沿いに位置し、漁業者の小川政浩さんは2年かけてホタテを育てています。
財務省によりますと、去年、日本から中国に輸出されたホタテのうち、道からの輸出額は9割以上を占めていて、小川さんによりますと、砂原漁港でも6割から7割ほどが中国向けに輸出されているということです。
このため、すでに養殖を始めているホタテの出荷先が見つからなければ、収入が落ち込むなどの影響が懸念されています。
小川さんは「輸入停止が長引けばホタテ漁師としてやっていけなくなる。日本政府はなんとか中国と折り合いをつけてほしい」と話していました。
一方、森町の岡嶋康輔町長は中国が日本産の水産物の輸入を全面的に停止したことを受けて25日、漁協の幹部などと対応を協議しました。
協議のあと岡嶋町長は、「町の財源でも漁業者への支援を拡充していくことを検討したい」と述べ、対策を強化していく考えを示しました。
町は今後、周辺の自治体とも情報を共有して対応を検討することにしています。