円山動物園でアジアゾウの赤ちゃん誕生 祝福ムード広がる

札幌市の円山動物園で妊娠が確認されていたアジアゾウの「パール」が19日、無事に赤ちゃんを出産しました。道内では初めてとなるアジアゾウの赤ちゃんの誕生に喜びが広がっています。

【アジアゾウの赤ちゃん誕生は道内初!】
札幌市の円山動物園では19歳のメスのアジアゾウ、「パール」の妊娠が去年10月に確認され、今月15日から飼育員が24時間態勢で見守っていました。
動物園によりますと、19日夜、「パール」の陣痛が始まり、午後10時半すぎに赤ちゃん1頭を無事に出産したということです。
性別はまだ確認されていませんが、赤ちゃんは出産時の体長がおよそ90センチ、体重が90キロあり、母親のパールからお乳をもらい健康状態はよいということです。
道内でアジアゾウの赤ちゃんが誕生するのは初めてです。
【動物園は祝福ムード】
待望のアジアゾウの赤ちゃんの誕生に、円山動物園は祝福ムードに包まれています。
来園した人からも喜びの声が聞かれました。
このうち、子どもを連れて夫婦で訪れていた女性は「赤ちゃんが産まれたのかなと思って見に来ました。生まれたことを知らなかったので、本当に良かったです」と話していました。
また、都内から家族旅行で訪れていた男性は「赤ちゃんの姿を早く見たいですね。これから楽しみです」と話していました。
また、動物園によりますと、電話やメールでもお祝いのメッセージが寄せられていて、21日午前中までに数十通に上っているということです。
【“準間接飼育”による出産は国内初】
円山動物園ではこれまで「パール」が飼育スペースにいるときは飼育員が中に入らず柵越しに健康管理を行うなど、「準間接飼育」と呼ばれる野生に近い形での飼育方法をとっていて、こうした方法でのアジアゾウの出産は国内初だということです。
20日記者会見した円山動物園の坪松耕太飼育展示一担当係長は「パールは初産だったので、出産のあとに赤ちゃんのケアがちゃんとできるか心配でモニターの前で飼育員みんなで応援していました。想像以上に安産で、大きな感動と喜びがあります。動物にも人にも優しい準間接飼育での出産を無事に終えられたので、今後、ほかの動物園にも情報を発信していきたい」と話していました。
【アジアゾウの出産は悲願】
円山動物園では半世紀以上にわたって市民に愛されたアジアゾウの「花子」が2007年に死んで以来、一時、ゾウがいなくなりました。
その後、「ゾウを再び見たい」という声の高まりを受けて、市民グループが集めた署名は3万人分近くにのぼりました。
しかし、アジアゾウは絶滅危惧種に指定されていて、ワシントン条約では、海外から受け入れて飼育するには繁殖目的などの特別な理由が必要でした。
このため円山動物園は種の保存などを目的として5年前、「パール」を含むアジアゾウ4頭をミャンマーから譲り受けたのです。
その後、一般公開を始めて再び人気を博し、2021年からは「パール」とオスの「シーシュ」を同居させ、難しいとされる繁殖にも挑戦してきました。
国内初の「準間接飼育」での繁殖となることもあって、赤ちゃんの誕生に大きな期待が寄せられていました。
【一般公開は約1か月後メド 名前も募集予定】
動物園ではおよそ1か月後をめどに赤ちゃんを一般公開し、それにあわせて名前も募集する予定です。
一般公開までの間はホームページやSNSなどを使って母親の「パール」と赤ちゃんの様子について情報を発信していく予定だということです。