下水調査で新型コロナ流行把握 札幌市など3市が協議会設立へ

家庭などから出る下水に新型コロナウイルスがどれほど含まれるか調査している札幌市などの3つの自治体が、ウイルスの検出率のデータを共有し、感染状況を把握していくための協議会を設立することがわかりました。今後、参加する自治体を増やしながら、新しい感染症にも対応できるようにしていきたいとしています。

家庭などから出される下水の新型コロナウイルスの検出率は、実際の感染状況の傾向と概ね一致することが明らかになっていて、感染初期や無症状など検査を受けていない人の感染も把握できることから、高い精度で迅速にウイルスの広がりをつかむことができるとされています。
国は、新型コロナの「全数把握」が5月に廃止されたことにより、下水調査を流行把握の指標の1つにしていて、全国の自治体でも導入が進んでいます。
このうち札幌市や石川県小松市、兵庫県養父市の3つの自治体は今月、全国的な感染状況の把握を目指し「全国下水サーベイランス推進協議会」を設立するということです。
協議会は分析方法を共有しながら下水の調査結果を地域ごとにまとめ、ホームページで公表していくということです。
また、参加する自治体を増やしながら、新しい感染症が流行しても活用できるものにしていきたいとしています。
協議会のメンバーで下水調査を行っている北海道大学大学院工学研究院の北島正章准教授は「下水調査は無症状の人も含めた感染症の流行状況を把握することができる。下水調査によってさまざまな感染症対策につなげられるよう仕組みをつくりたい」と話しています。