北海道の最低賃金 時給920円→960円 10月適用見通し

時給920円となっている道内の最低賃金について、北海道労働局の審議会は、ことし10月から40円引き上げて時給960円とする答申を行いました。引き上げ幅が過去最大となるのは3年連続です。

企業が労働者に最低限支払わなければならない「最低賃金」について、厚生労働省の審議会は先月、北海道は40円引き上げるという目安をとりまとめています。
これを受けて道内の学識経験者や労働組合、それに経済団体の担当者などでつくる北海道労働局の審議会が7日開かれ、時給920円となっている道内の最低賃金について、目安と同じ40円引き上げて時給960円とする答申を行いました。
これは最低賃金が時給のみで示されるようになった2002年度以降で過去最大の引き上げ幅となり、引き上げ幅が過去最大となるのは3年連続です。
最低賃金の引き上げの理由について審議会は、▽消費者物価の上昇が続く中、労働者の中には生活が苦しくなっている人も少なくないこと、▽企業の利益や業況についてコロナ禍からの改善傾向が見られるためなどとしています。
一方で、▽賃上げの原資を確保できるよう、原材料費やエネルギー価格の上昇分の転嫁に向けた環境を整えることや、▽扶養控除の範囲内を希望する労働者がいることも踏まえて、人手不足がさらに深刻化しないよう、税や社会保障制度も含めて検討することも要望しています。
道内の新たな最低賃金はことし10月から適用される見通しです。

審議会の会長を務める北海道大学の亀野淳教授は、審議会のあと、「さまざまな価格が高騰する中、企業の経営者には、40円の引き上げは厳しいという意見もあるが、いまの物価の上昇を考慮し、労働者の生活を守る上で最低賃金は引き上げる必要がある」と述べました。
答申を受け取った北海道労働局の友藤智朗局長は「最低賃金は労働者のセーフティーネットの役割がある。最低賃金引き上げの周知と広報を徹底していくとともに、事業者の皆さんが賃金の引き上げをしやすい環境整備も積極的に支援していきたい」と述べました。