生乳の取り引き価格引き上げで牛乳・乳製品値上げ

大手乳業メーカーなどが8月1日の出荷分や納品分から牛乳や乳製品を値上げしたことを受けて、札幌市内のスーパーでも値上げする動きが見られました。

牛乳などの飲用向けや、ヨーグルト向けなどの生乳の取り引き価格について、ホクレンは、飼料価格が高値で推移していることなどを受けて8月1日から1キログラムあたり10円引き上げました。
これに伴い大手乳業メーカーなどは8月1日の出荷分や納品分から牛乳や乳製品を値上げしたことを受けて、札幌市手稲区の食品スーパーでも値上げする動きが見られました。
この食品スーパーでは、牛乳やヨーグルトあわせておよそ30種類の商品について、8月1日から店頭での販売価格を10円から40円程度値上げしたということです。
買い物に訪れた80代の女性は「牛乳はよく飲むので、安いものをこまめに必要な分だけ買うようにしていますが、高くなると家計が厳しくなる」と話していました。
この食品スーパーでは、賞味期限までの期間が短い商品を安く仕入れるなど工夫をして店頭での販売価格をなるべく抑えたいとしていますが、それでも消費者の買い控えを懸念しています。
食品スーパーの「キテネ食品館」の中塚誠社長は「きょうから値上げなのではっきりとは分からないが、いつもよりは売れ行きがよくないように感じている。店頭価格が10円上がるだけでも買うことをためらう人もいるため値段を下げたいが、限度があるので厳しい」と話しています。

【生乳の生産現場では】
十勝の士幌町でおよそ450頭の牛を飼育している川口太一さんの牧場では、牛のえさ代や牛舎で使う電気代が2年前に比べてそれぞれ1.4倍ほどに上がったほか、コロナ禍による牛乳の消費の落ち込みもあり、経営を圧迫しているということです。
このため川口さんは、これまで使用していた輸入飼料の一部を価格が安い国産の小麦や飼料用米に置き換えたり、子牛を売ったりしていますが、厳しい経営状況は変わっていないということです。
牛乳の需要の落ち込みに伴って生乳の生産を抑えてきたという川口さんは「生活がギリギリという状況で、生乳価格の引き上げによって手取りが増えるのはありがたいが、酪農の危機を脱するには至らない。物価の高騰で家計も厳しいが、消費者には引き続き買い支えをお願いしたい」と理解を求めました。