農作物の食害防止へ 札幌市内のエゾシカ駆除エリアを拡大

エゾシカによる農作物の被害を防ごうと、道は札幌市内で猟銃を使って駆除することができるエリアを農業地域なども含む市の北東部に拡大することになりました。

野生動物に農作物を食べられるなどの被害は、道内では去年3月までの1年間で54億円あまりにのぼっていて、このうちエゾシカによる被害がおよそ45億円と全体の8割以上を占めていることから、農業関係者を中心に対策の強化を求める声が上がっています。
これを受けて、道の石狩振興局はエゾシカの数を適正に保つ必要があるとして、札幌市内で猟銃やわなを使って駆除を行うことができるエリアを拡大する決定をしたことがわかりました。
具体的には、これまでエゾシカの駆除は、中央区と南区、西区など5つの区の山間部を中心とした地域に限られていましたが、新たに市の北東部で、農業地域なども広がる▼北区と、▼東区、それに▼白石区の3つの区の全域が追加されることになりました。
石狩振興局によりますと追加された3つの区では、来年3月までに260頭の駆除を目指すということで、猟友会は食害の被害や目撃情報をもとにエゾシカの駆除を実施することにしています。

【被害農家は】
猟銃を使った駆除が可能になる札幌市北区でトウモロコシなどを栽培している農家の萩中昭夫さんは、近年、エゾシカが増加し、畑を荒らすケースが増えていると指摘します。
萩中さんの畑では、9月半ばに収穫を迎える飼料用トウモロコシのうち、1割近くがエゾシカによって実や茎を食べられる被害にあっているということです。
萩中さんは「少しでも食べられてしまったトウモロコシは、それ以上成長しなくなるので、見た目以上に被害が甚大になる」と話していました。
これまで畑を見回るなどの対策を行ってきましたが、およそ5ヘクタールの畑を定期的に確認するには限界がある上に、人が近づいても逃げずに食べ続けるエゾシカもいるということで、今回、対策が強化されることに期待を示しています。
萩中さんは「早く手を打たないと手遅れになってしまうので、駆除できるようになることはありがたく、ぜひお願いしたい」と話していました。