中国が日本の水産物など輸入規制強化の動き 道内漁業関係者は

中国で日本産食品の輸入規制を強化する動きがみられる問題についてです。中国政府は福島第一原発にたまる処理水を薄めて海に放出する計画に反対の立場で、日本からの水産物が中国の税関当局で従来より長い間検査のために留め置かれ輸出が滞っています。今後、どのような影響が懸念されるのでしょうか。

【ホタテ貝が大きな割合】
北海道から輸出される水産物や水産加工品のうち、中国向けのホタテ貝は大きな割合を占めています。
道によりますと、去年1年間に北海道から輸出された水産物や水産加工品はあわせて833億円で、このうち中国向けは531億円と6割以上を占めています。
北海道から中国に輸出された品目を見ると、▽加工品を含めたホタテ貝が447億円と8割以上を占め、次いで▽ナマコが36億円、▽サケ・マスが18億円などとなっています。
また、函館税関によりますと、去年、日本から中国に輸出されたホタテ貝のうち、北海道からの輸出額が9割以上を占めています。
道内から中国向けのホタテ貝の輸出額はおととし以降増加していて、去年の輸出額は比較可能な1988年以降、最も高くなっています。

【生産者や輸出業者は】
オホーツク海は全国有数のホタテの産地で、このうち興部町の沙留漁協ではホタテが取扱高全体の6割を占める主力となっていて、このうち数割は中国へ輸出されているということです。
沙留漁協の委託でホタテの加工を行う「背戸水産」の背戸卓也代表取締役は「放射性物質の検査に関しては、東日本大震災の時に経験しているので、極端に輸出が出来なくなるとは思いませんが、物流が悪くなってしまうので値崩れしてしまうのが心配です」と話していました。
また、紋別漁協では昨年度、好調な中国などへの輸出や単価の上昇などを背景に、ホタテの水揚げ量がおよそ4万1000トンと過去最大規模となり、販売金額も82億円余りと漁協全体の販売金額の56%を占めました。
紋別漁協帆立生産部会の中村秀人部会長は「現時点で特に影響は出ていない。中国がどう思っているのかわからないが、日本海やオホーツク海は太平洋側と海流が違うので、日本という国を1つに見てもらっては困る。組合員の生活もかかっているので、今後も安定的に漁獲できれば」と話していました。
中国に輸出するホタテを扱う根室市の水産加工会社からは今後の影響を心配する声が上がっています。
根室市の水産加工会社「山十前川商店」では、近年は中国向けを中心とした輸出が取扱量全体の5割ほどを占めていました。
しかし、中国経済の不透明感や処理水への懸念などを背景に、ことしは4月から注文が減っているということです。
水産加工会社の宮崎征伯社長は「われわれも処理水の問題がどういうふうになっていくのか全然わからない。国内での消費を増やしていくことも重要だと考えている」と話していました。