不妊症に流産などの原因抗体が関係か 札幌の病院などが発表
カップルの10組に1組が抱える「不妊症」に、血栓症や流産などの原因となる抗体が関係しているとする研究成果を手稲渓仁会病院などの研究グループが発表しました。妊娠前から適切な治療を行うことで、妊娠率を上げられる可能性があると期待されています。
この研究を行ったのは、手稲渓仁会病院不育症センターの山田秀人センター長などの研究グループです。
グループでは、不妊症外来を受診した26歳から45歳までの女性224人を採血し、血が固まって血管が詰まる血栓症や流産などの原因とされている「ネオ・セルフ抗体」の有無を調べました。
「ネオ・セルフ抗体」は、自分の体の細胞を攻撃してしまう自己抗体の1つです。
その結果、およそ18%にあたる40人が「ネオ・セルフ抗体」を持っていることがわかりました。
また、採血した人の中で、不妊症のリスク因子の「子宮内膜症」である45人のうちおよそ29%で抗体があり、▼体外受精などの不妊治療を行った人で3回以上妊娠が成立しない「反復着床不全」の36人のうちおよそ28%で抗体があることがわかりました。
「ネオ・セルフ抗体」は、通常は100人に1人で陽性になりますが、今回の研究では高い結果がでたことから、不妊症の原因に抗体が関係していると考えられるということです。
研究グループは、妊娠を望む人には抗体の有無を検査し、血栓を防ぐ治療を行うことで、妊娠率を上げられる可能性があるとしていて、山田センター長は、「不妊症の原因は不明なことが多いが、今回の調査で要因の一端が明らかになった。今後、抗体の検査と治療が保険適用になるようデータを集めていきたい」と話していました。
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