蘭越町の蒸気噴出 掘削の会社が住民に説明会 

後志の蘭越町にある地熱発電の調査現場で蒸気が噴出している問題で、掘削を行っていた会社が4日、地元住民に説明会を開き、住民からは農業への影響を懸念する声や、説明の遅さを指摘する声が相次ぎました。

蘭越町湯里にある地熱発電に向けた資源量調査の掘削現場では、6月29日以降、高さ数十メートルの蒸気が噴出していて、石英を主成分とする地下鉱物が近くの川に流入していることが確認されています。
掘削を行っていた「三井石油開発」は、噴出初日に現場にいた女性1人が硫化水素中毒と診断されて入院していたことについて、事実が判明してから5日がたった4日、はじめて明らかにしました。
こうしたことを受けて会社は4日夜、蘭越町で説明会を開き、地域の住民などおよそ70人が参加しました。
説明会は非公開で行われ、会社によりますと、事態について謝罪した上で、▼鉱物が流入した川からの取水を控えている農家に対し、被害があった場合には補償する方針であることや、▼川の濁りを減らす対策を行っていることなどについて説明したということです。
これに対し住民からは、▼補償の方針を早急に示して欲しいとか、▼住民に対する説明が遅いのではないかといった意見が出されたということです。
説明会に参加した人は、「検査体制が十分とは思えず、もう少し誠意のある対応をしてほしい」とか、「どうして問題を隠すのか非常に残念だ」などと話していました。
また、会社は4日、近隣の川で行っている水質調査で一部の地点から農業用水の基準値の最大で1.8倍ほどのヒ素が検出されたことを明らかにしました。
会社では影響を調査し、対策を急ぐとしています。
「三井石油開発」の瀬戸内貴司地熱事業部長は、記者団の取材に対し、「地元の皆様や関係者の皆様にご心配をおかけして大変申し訳ない。取水の制限によって農作物にダメージが出ていることも痛感していて、しんしに補償していきたい」と述べました。