水力発電所設備故障で農業用水供給停止“今年度中の復旧困難”

道南の七飯町にある水力発電所の設備が故障し農業用水の供給が停止していることを受けて、道が関係者を集めて会議を開き、北海道電力は今年度は復旧が難しいことなどを報告しました。

七飯町にある北海道電力の水力発電所では、発電所を経由して水田へ農業用水を供給する配管が損傷したことで供給が停止していて、函館市と北斗市、それに七飯町にまたがるおよそ2000ヘクタールの水田では米作りへの影響が懸念されています。
この問題を受けて道は先週に続いて2回目の会議を開き、北電や地元の農協、そして自治体の担当者などおよそ50人が参加しました。
この中で北電の担当者が改めて謝罪した上で、▼今年度中の復旧は難しいことや、▼来年5月の田植えに間に合うように新たに農業用水を供給するルートを構築できるよう検討していると説明しました。
また、▼仮設のポンプを使って用水路に水を送っていることに加えて、▼給水車13台で水田などに水を供給していることを説明しました。
これに対して地元の農業や行政の担当者らは、一度は水田に水が行き渡ったものの供給量が足りないとして、速やかに対応するよう求めました。
渡島平野土地改良区の河村康英理事長は「私の水田ではひび割れの状況が続いていた。水が少し入って状況はよくなりつつあるが、この状況が続けば稲の生育状況に支障をきたす」と話していました。

【北電社長が知事に陳謝】
この問題で、北海道電力の齋藤晋社長が道庁で鈴木知事と面会し、経過を報告したうえで謝罪しました。
この中で北電の齋藤社長は「多大なご迷惑とご心配をおかけしたことを深くお詫びする。損傷した設備の復旧の見通しは立っておらず、関係者と連携して、放水停止の影響を低減するため応急的な放水作業を進めている。地域の声を伺いながら万全の対策をしていきたい」と述べました。
これに対して、鈴木知事は「応急的な対応により、すべての水田に通水できる状況になったと聞いているが、引き続き必要な用水の確保や今回の事態に至った検証をお願いしたい。道としても地域の課題を把握し、1日も早い復旧に向けて協力していきたい」と話しました。