七飯・水力発電所故障 農業用水供給停止で米作りへの影響懸念

北海道電力は、道南の七飯町にある水力発電所の設備が故障したことで農業用水の供給が停止していると発表し、地元の米作りへの影響が懸念されています。

北海道電力によりますと、七飯町にある水力発電所で今月17日、設備の異常を知らせる機器が作動したため確認したところ、発電所を経由し、水田へ農業用水を供給するための配管が損傷していたことが分かり、供給を停止したということです。
配管は全長13メートル、直径が最大1メートル50センチ余りで、ことし3月に点検した際には異常はなかったということです。
この水力発電所は函館市と北斗市、それに七飯町にまたがるおよそ2000ヘクタールの水田に水を供給していて、地元の米作りへの影響が懸念されています。
北電によりますと配管が損傷した原因は分かっておらず、復旧のめどはたっていないということで、別のルートで農業用水を供給できないか検討しているということです。
渡島平野土地改良区の河村康英理事長は「いまは稲の生育に大事な時期なので、一刻も早く復旧してほしい」と話しています。

【農家から懸念の声】
七飯町にある北海道電力の水力発電所の設備が故障し、農業用水の供給が停止したことで水田に水が来なくなった農家からは、稲の生育や収穫への影響を懸念する声があがっています。
発電所からの農業用水を使用してきた北斗市の農家、冨樫孝さんの水田では、水を入れ替えようと水を抜いた直後から供給が止まってしまい、土の表面にはひび割れができはじめていました。
冨樫さんによりますと、水はまだ完全になくなってはいないものの、今は稲の茎が増える時期で本来は水を張っているということです。
水田の水は雑草の成長を防いで夜間の寒さから稲を守る役割があるほか、水田が乾燥して土の中までひびが入ると根が切れてしまうこともあるといいます。
7月以降はさらに水が必要になるため、生育に影響が出て収穫量が減るのではないかと懸念しています。
冨樫さんは「今まで経験したことがなく、どうなるのかわからず手探りの状況だが、自分たちでできることを何とかやろうとしている。1日でも早く復旧できるよう関係者の人に頑張ってほしいです」と話していました。

【道 用水確保に向け検討】
道は、北海道開発局の函館開発建設部などと連携し、供給できなくなっている農業用水の確保に向けて検討を進めています。
鈴木知事は記者会見で、23日に七飯町や農協など、関係者を集めた緊急の対策会議を開くとしたうえで、「早期の農業用水の確保に向け、関係機関と連携を密に図りながら、随時、水田の状況を確認し、適切な技術指導を行っていきたい」と述べました。