福祉施設が入居者に不妊処置提案 道が監査結果を通知し指導

道南の江差町にある福祉施設が知的障害のある入居者に不妊処置を提案していた問題で、道は21日、運営する社会福祉法人に対し、入居者に対する配慮が不十分だったケースもあったとする監査結果を通知し、見直しを行うよう指導しました。

江差町の社会福祉法人「あすなろ福祉会」が運営するグループホームでは、20年以上前から知的障害のある入居者が結婚や同居を望んだ際に不妊処置を提案していたことが明らかになり、道は、障害者総合支援法に基づき去年12月から施設への監査を行っていました。
21日は檜山振興局の今井フサエ・くらし子育て担当部長が「あすなろ福祉会」の樋口英俊理事長に監査の結果を手渡しました。
監査では少なくとも13人が不妊処置に応じていたことがわかったということですが、施設側が入居の条件として不妊処置を求めたことや、処置を強制したことなどは確認されなかったとしています。
一方で、入居者への配慮が十分でなかったり、入居者からの相談内容や心身の状況などを記録に残していなかったりするケースもあったと指摘しています。
これを受けて、道は、入居者の結婚や同居などに際しては、意思決定について施設側が十分に配慮し、相談内容などを適切に記録した上で、入居者の意向に応じたサービスを提供するよう指導しました。
このあと、「あすなろ福祉会」の樋口理事長は記者団に対し、「不妊処置は本人などが了承したうえだったと監査で申し上げていて、結果としては私たちの主張は尊重されていると感じる。文書の保存については反省すべき点で、指摘を順守したい」と話しました。