札幌西区と小樽市東部の一部に「ヒグマ注意報」警戒強まる

道内各地でクマの出没が相次いでいて、警察に寄せられた目撃情報はことしに入って先月までに723件と、ここ5年間で最多のペースで増えています。こうした中、15日、札幌市西区と小樽市東部の一部の地域に道から「ヒグマ注意報」が出され、現地では警戒が強まっています。

道によりますと、今月に入り16日までに、▼札幌市西区西野では2回、▼小樽市東部の星野町と見晴町ではあわせて5回、クマが目撃されています。
このうち西区西野では、3日前の13日に「西野西公園」で遊んでいた子どもたちがクマ1頭を目撃して、15日から公園の一部のエリアが閉鎖されています。
こうした状況を受けて、道は15日、▼札幌市西区の山麓周辺と、▼小樽市東部の星野町と見晴町の山麓周辺の2つの地域を対象に「ヒグマ注意報」を出しました。
札幌市内でヒグマ注意報が発表されるのは去年10月以来で、小樽市内では初めて発表されました。
期間はいずれも来月14日までの1か月間で、クマの出没状況に応じて短縮や延長があるということです。
札幌市西区では、クマが出没した場所の周辺の住民が警戒を強めていて、70代の男性は、「民家の近くまでクマが来ているので少し不安です。クマ対策で道に落ちているゴミでも拾うようにしています」と話していました。
また、クマが出没した公園の隣に住む80代の男性は、「クマが家の近くまで来ているので駆除してほしいです。夜もうっかり外出できないです」と話していました。
【ヒグマ注意報とは】
道が発表する「ヒグマ警報」や「注意報」は、独自の取り組みで、去年から運用を始めています。
道によりますと、ヒグマが出没した地域での危険性を警報、注意報、注意喚起の3段階に分けて、警戒や注意を呼びかけているということです。
発表の基準は、▼「ヒグマ警報」は市街地付近で人への被害が発生したときです。
▼「ヒグマ注意報」は市街地付近以外で人への被害が発生したとき、または市街地付近で頻繁にクマが出没するなどして人への被害が懸念されるときです。
また、▼「ヒグマ注意喚起」は、地域の事情に応じて、広く注意を促す必要があるときに発表されます。
道によりますと、こうした運用は、おととしヒグマによる人への被害が相次いだことから、道民などへの注意喚起のために去年から始めたということです。
警報や注意報の期間は、発表から1か月間が目安となっています。
【「ヒグマ注意報」が出された地域では】
「ヒグマ注意報」が発表されている札幌市西区の地域では、目撃現場の近くにある学校周辺で警察がパトロールを強化するなど、対策が行われています。
西区にある西野第二小学校の周辺では16日、児童の下校時間にあわせて、警察官が赤色灯をつけたパトカーで付近を回り、「クマの目撃が相次いでいます」などとアナウンスをして、注意を呼びかけていました。
小学校に孫を迎えに来ていた70代の男性は、「孫もいるので心配です。早く落ち着いてくれたらいいなと思います」と話していました。
また、クマが目撃された場所の近くでは路上に設置されている掲示板に、クマの目撃情報と注意を呼びかけるチラシが貼られていました。
このほか、クマが出没した「西野西公園」では周辺の見通しをよくするために市が15日までに公園内の草刈りを終えて、今後、付近の木の伐採も予定しているということです。
【クマの目撃情報は過去最多のペースで増加】
警察によりますと、道内ではクマの目撃情報が先月1か月だけで480件余り寄せられ、ことし1月からの5か月間ではあわせて723件にのぼっています。
同じ時期の比較ではここ5年間で最多のペースで増えていて、年間の目撃件数が過去最多となった去年を上回る可能性があるということです。
【注意報の対象地域でクマを目撃・クマが出没したら】
道は対象の地域では、▼ヒグマを目撃したらゆっくりと距離をとり、静かにその場を離れることや、▼餌になるゴミなどを放置しないこと、▼山に出かけるときにはヒグマの出没情報を確認することなどを呼びかけています。
道ヒグマ対策室の武田忠義主幹は、「市街地の近くに出没しているので、各自治体から出ているクマの目撃情報を確認してもらい、十分注意してほしい」と話していました。