ヒト用インフルエンザ治療薬 動物園の鳥に投与可能か試験

鳥インフルエンザの発生が過去最多となる中、北海道大学などの研究グループが、動物園で飼育されている絶滅危惧種の鳥が感染した場合にヒト用のインフルエンザ治療薬を投与できるのかを調べる全国でも例のない試験に乗り出したことがわかりました。

鳥インフルエンザは今シーズン、全国の26の道と県の養鶏場などで発生し、処分されたニワトリなどの数は合わせて1700万羽以上と、発生件数、処分された数ともに過去最多となっていますが、鳥に有効なワクチンや国の承認を得た治療薬はないとされています。
こうした中、北海道大学などの研究グループは環境省の協力を得て、札幌市の円山動物園で飼育されている絶滅危惧種の「シマフクロウ」が感染した場合にヒト用のインフルエンザ治療薬を投与できるかを調べる試験にことしの3月から乗り出したことがわかりました。
使用するヒト用の治療薬は「ゾフルーザ」で、研究グループが去年、鳥インフルエンザに感染した野生のオジロワシに投与して治療の効果を確認しています。
研究グループでは「シマフクロウ」の近縁種にあたる「ユーラシアワシミミズク」にゾフルーザを複数回投与し、状態が悪化するようなことはないことが確認できたということです。
今後は、血液中で薬の成分がどれだけ持続するのかを分析し、シマフクロウへ投与する際の適切な量や頻度を見極める方針で、試験の結果は9月に鹿児島県で開かれる日本野生動物医学会で発表する予定だということです。
環境省によりますと、ヒト用のインフルエンザ治療薬を動物園で飼育している鳥に投与できるのかを調べる試験は全国でも例がないということです。
研究を行っている北海道大学の迫田義博教授は「今回の試験の成果を沖縄県のヤンバルクイナなど全国の希少な種の保全にいかしたい」と話しています。