ヒグマ対策電気柵 周囲を囲むキャンプ場 札幌市は貸し出しも

道内でクマの目撃が相次ぐなか、電気柵を使ってクマを寄せつけないための対策を取っているところもあります。

札幌市西区にあるキャンプ場ではクマの侵入を防ごうと、3年前からキャンプ場の周囲およそ2キロにわたって電気柵を設置しています。
この電気柵は高さがおよそ1メートル前後で、3本のワイヤーに一定の間隔で極めて短い時間だけ瞬間的に電気が流れ、その際の電圧はおよそ7000ボルトだということです。
これまでこのキャンプ場の周辺でクマが出没した痕跡は確認されていないということで、漏電を防いで電気柵の効果を高めるとともに、見通しをよくするために毎日、電気柵の周辺の草刈りを行っているということです。
キャンプ場の運営会社「ワンダーランドサッポロ」の末岡由紀夫課長は「キャンプ場の利用者には子どもやペットへの注意喚起を含めて、必ず受け付けの際に電気柵を設けていることを伝えている。今後も新たな対策があれば講じていきたい」と話しています。

【札幌市の施策】
札幌市は、クマを家庭菜園などに寄せつけないための対策として、無償で電気柵の貸し出しを行っています。
この取り組みは、札幌市が6年前から毎年行っていて、今月1日から今シーズンの貸し出しが始まりました。
札幌市によりますと、クマが家庭菜園の農作物を食べると人間が作った食べ物の味を学習し、市街地に繰り返し出没するきっかけになる場合があるということで、電気柵に触れたクマに刺激を与えることで、農作物に寄せ付けない効果が見込まれるということです。
電気柵の貸し出しの対象は、家庭菜園の農作物が被害を受けた人やクマの出没が予想される場所に家庭菜園がある人などで、今シーズンはこれまでに21セットの申し込みがあったということです。
札幌市の坂田一人環境共生担当課長は「地域全体に電気柵が普及することによって、クマがこの地域は危険だと学習することにつながる」と話しています。
今シーズンの貸し出し期間は10月末までで、申し込み数が50セットに達し次第、終了することにしています。
なお、電気柵の無償での貸し出しは、電気柵の有効性を体験してもらうために行っているということで、過去に貸し出しを受けた人は原則対象外だということです。
札幌市ではこのほか、人数に上限はありますが、家庭菜園用の電気柵を購入する人を対象に、▽購入金額の半分、▽最大で2万円まで補助するということです。