日高でオオズワイガニ発生し漁業被害も 小ぶりで商品価値低い

日高地方の沿岸では、ことしに入って「オオズワイガニ」が大量発生し漁業に被害が出ています。これを受けて12日、様似町で道の許可を受けた漁業者が捕獲を行いました。

日高の浦河町と様似町の沿岸では商品価値が低いとされるオオズワイガニがことし大量に発生し、漁網に絡まるなどの被害が出ていて、カレイなどの水揚げも大きく落ち込んでいます。
こうした中、管轄する日高中央漁協は、オオズワイガニを有効活用するとして「特別採捕許可」を道に申請し、今月2日に許可を受けました。
被害が特に大きいとされる様似町の沖合では、12日朝、5隻の漁船が捕獲を実施し、今回はあわせておよそ2トンが水揚げされました。
オオズワイガニは小ぶりなものの味はよく、水揚げされたカニの一部は市場で競りにかけられたということです。
捕獲にあたった漁業者は「いつもはエビとタコを取っていますが、今はまるっきり取れません。オオズワイガニの単価がもう少し上がってくれたらうれしいです」と話していました。
地元の漁協は今後、オオズワイガニの販路の確保を進めるとともに、専門家の協力を得ながら大量発生した原因についても調べたいとしています。

【地元では】
日高地方で大量発生している「オオズワイガニ」。
これまで市場にはあまり流通しておらず、とれたカニは小ぶりで商品価値も低いとされ、地元ではその活用方法を模索しています。
えりも町の漁協は直売店でオオズワイガニの販売を行っていて、現在は1匹あたり300円から500円となっています。
今月10日の土曜日には開店前から大きなクーラーボックスを持った買い物客などが長蛇の列を作っていて、用意した2800匹が3時間あまりで売り切れました。
帯広からきた50代の男性は「100匹買いました。友達に配ったり、自分で食べたりします」と話していました。
また、隣の様似町の商店でもオオズワイガニを取り扱っていて、今月に入りオオズワイガニが大量発生していることが広く知られ始めると、買い求める客が3倍ほど増えたということです。
商店を経営する工藤仁社長は「このカニの価値を少しでも上げたくて販売しています。『おいしいですね』という反響があります」と話していました。
さらに、地元の飲食店の中にはオオズワイガニを使ったメニューを考案をしたところもあります。
この店ではしゃぶしゃぶやむき身など、オオズワイガニの特徴である甘みのある身を生かし、現在4種類の料理を提供していて、店主の久慈裕文さんは「道内から訪れる人が多く、どのメニューも好評です」と話していました。
一方、オオズワイガニの捕獲に乗り出した日高中央漁協では、加工業者などへの販路を確保しようとしていますが、いつまでオオズワイガニの大量発生が続くのか見通せないことなどから、安定的な供給を求める業者側との交渉は容易ではないのが実情だということです。