函館市 公立小学校の今年度のプール授業中止で波紋

函館市の公立小学校で、今年度のすべてのプールの授業が中止になりました。その理由は、「ドライバーの人手不足」。突然の発表に波紋が広がっています。

【子どもや保護者から落胆の声】
突然入ったプールの授業中止の知らせに子どもたちからは落胆の声が上がりました。
函館市の小学校に通う子どもは「やれなくなってショックです」、「1年生のときもできなかったから、2年生のときはできるって聞いていて楽しみにしてたのにできなくてショックです」などと話していました。
また保護者の1人は「ことしはあると聞いてたのでもう学校用の水着とかも買って用意していました。子どもたちも楽しみにしてたからかわいそうだなって思いました」と話していました。

【理由は “バスのドライバー不足”】
函館市ではプール授業が新型コロナの影響で3年間中止になっていて、市は再開できないか検討を進めてきましたが、今年度も中止になりました。
その理由は児童を送迎するバスのドライバー不足です。
函館市の公立小学校のうち、プールが設置されているのは半数ほどで、プールのない小学校の児童はプールのある学校などにバスで移動して授業を受けてきました。
ところが観光需要の回復などでドライバーが不足し、子どもたちを乗せることができない状況になっています。
バス事業者で作る団体などによりますと、修学旅行やクルーズ船への対応で観光バスの予約が埋まっていて、複数のバス会社は遠足や部活動の遠征についても断らざるを得ない状況にあると話しています。

【“教育格差”避けるため】
市内すべての公立小学校でプール授業を中止することについて函館市の教育委員会はプールがある学校だけで授業をするわけにいかなかったと説明しています。
教育指導課の酒井光史課長は「バスの確保の問題や教育格差が生じるなどの部分を総合的に考えた上で今年度は判断をしました。すでに過去3年間実施できないという状況がありますので、具体的にどのような影響がやっぱりあるのかということについては今後、各学校の様子を注視しながら各学校とも連携しながら慎重に把握していきたい」と話していました。
この判断について保護者の1人は「せっかくプールの設備がある学校だったのであるところだけでもできないのかなと思いましたが、教育格差と言われてしまうとしょうがないのかなと思います」と話していました。

【準備進めていた学校も】
プールの再開に向けて準備を進めていた学校もあります。
駒場小学校は例年、6月から9月にかけて各学年、週1回プールの授業を実施していて、市内の他の学校の児童も受け入れていました。
水泳はできませんが水の怖さなどを伝える授業はしたいとしています。
深澤昌明校長は、「子どもたちには、体力面での影響や、水の怖さを知るためにも必要な授業だと思っています。子どもたちも楽しみにしている授業のひとつで、学校としても十分わかっていましたが、やはり状況が状況なので市の教育委員会の判断には従っていきたい。子どもたちには最大限の教育の用意はしていきたいと思っています」と話していました。

【函館市教委は】
函館市の教育委員会は来年度はプールの授業を再開することを前提にバス会社に確認するなどしながら早めに準備を進めていきたいとしています。