新着2題「台湾から道東に熱視線」「若きアーティスト誕生」

道内に30組ほどいるローカルフレンズが最新のローカル事情を伝える「ローカルフレンズニュース」。今回は道東と函館からうれしいニュースが届きました。

1人目は、道東で活動する一般社団法人・ドット道東の中西拓郎さん。中西さんたちは3年前、「アンオフィシャルガイドブック.doto」という本を出版しました。中には足寄町のホームパーティーや地元の人が好きな冬山などニッチな情報が満載。日本地域コンテンツ大賞・地方創生部門最優秀賞に選ばれるなど、国内で高い評価を得ました。
そして今、この本が3千キロの距離を越え台湾に届いているのです。台北にある書店では、ガイドブックの中国語版の出版イベントが開かれました。イベントのチケットは即日完売だったそうで、書店の前には長蛇の列。100人以上の参加者を迎え登壇したのは、台湾出身の黄晴渝さんです。肩書きは北海道インバウンドコミュニケーター。SNSなどに20万人以上のフォロワーがいて、台湾などの国々に北海道の魅力を伝えています。以前から黄さんは、最近の台湾の人たちの北海道への関心が「有名観光地から日常へ」と変化していると感じていたそう。そんな時、中西さんたちのガイドブックを知り、「日常の豊かさ」や「住んでいる人々の視点」をぜひ台湾でも紹介したいと出版を熱望しました。
この日のイベント会場でも、道東の「日常」に魅力を感じる声が次々と聞こえてきました。中西さんは、こうして始まった交流にとても驚いているといいます。住んでいる人目線で作った本が世界へ。ローカルの熱量は、これからますます広がっていきそうです。

2人目は、函館の大学生ITOAOIさん。札幌市のギャラリーに呼ばれていくと、個性的な作品がずらり。痛みや弱さをテーマにしたコンピューターグラフィックスの作品です。アーティストとして初めての個展を開催していたのです。
番組が彼女と出会ったのは3年前。函館にある古民家を改装した大学生のシェアハウス「わらじ荘」を訪れたときでした。当時は、絵を描きたい気持ちを押し殺していました。仲間と話すうちに、苦しい思いがあふれて涙した夜も。そんな背中を見て動いたのは、地域の大人たちでした。函館のホテルで喫茶メニューを黒板にチョークで描くなど、小さな仕事からキャリアをスタートさせます。こうして、安心して活動できる場所があることが、心の内をさらけだし、アーティストとして生きていく決意につながったとITOAOIさんは語ります。
こうして生まれた独特な世界観は、札幌の音楽家や海外のクリエーターの目にとまり、仕事のオファーが来るようになりました。「自分が本当にやりたいこと」と向き合った函館での時間。地域からまたひとり、若い力が羽ばたいていきます。