国内最大級 石狩湾新港沖洋上風力発電プロジェクト工事本格化

石狩湾新港の沖合で、国内最大級の洋上風力発電プロジェクトの工事が本格化し、8日、現場の様子が報道陣に公開されました。

このプロジェクトは大手の再生可能エネルギー企業「グリーンパワーインベストメント」が進めているもので、小樽市と石狩市にまたがる石狩湾新港の沖合に高さ196メートルの風車を14基建設する計画です。
すでに風車の塔の基礎部分となる「ジャケット」と呼ばれる格子状の部材を海に沈めて取り付ける工事が進められています。
8日は、近くの岸壁で風車の部材が公開され、風車の塔になる巨大な筒型の部材のほか、一枚の長さが82メートルにもなる風車の羽根が置かれていました。
風車の建設工事は、地元の漁協との取り決めで秋さけ漁が始まる前までに終えることになっていて、8月までに14基すべての建設を終え、年末には発電を開始する予定だということです。
今回建設される風車は、1基あたりの出力が国内の一般的な風車の2倍で、14基あわせて一般の家庭およそ8万3000世帯分の電力を発電出来る能力を持ち、国内最大級の規模となるということです。
グリーンパワーインベストメントの幸村展人副社長は「16年かけてようやく開始にこぎつけたことは感無量だ。日本の大規模洋上風力発電の礎となるべく、プロジェクトを進めたい」と話していました。

【洋上風力での水素製造に期待】
海の上に風車を建設して発電する「洋上風力発電」は、陸上での風力発電や他の再生可能エネルギーに比べて大規模化が可能で、発電のコストも下げやすいことなどから、脱炭素を加速させる切り札として近年期待が高まっています。
欧州では導入が進んでいる一方、日本では進んでおらず、政府は洋上風力発電に適した海域を法律に基づいて重点的に整備する「促進地域」に指定して普及をはかるなど取り組みを進めています。
一方で、電力の需要は季節や時間によって大きく変動するため、風力発電で生み出された電力が余ることも予想され、再生可能エネルギーとして導入を増やすには、エネルギーをいかにためるかが課題となっています。
今回の洋上風力発電プロジェクトでは、発電した電力を北海道電力に売りますが、余った電力については蓄電池にためる予定です。
近くの陸地には、リチウムイオン電池の入ったコンテナが42台設置されています。
ただ、蓄電池の容量には限りがあることから、発電会社では将来的に電気から水素を製造することも検討しているということです。
水素は次世代のエネルギーとして注目されていて、政府は6日、水素の開発や普及に向けた「水素基本戦略」の改定版を取りまとめました。
水素にすることで貯蔵や移動がより容易になり、バスやトラックなどの輸送機関や工場やデータセンターなどで燃料として活用出来る可能性があり、プロジェクトを進める大手の再生可能エネルギー企業「グリーンパワーインベストメント」は他の企業や周辺の自治体と製造や活用に向けた検討を進めているということです。