RSウイルス感染症 子どもの間でいま増加

2歳までにほぼ100%が感染するといわれている「RSウイルス感染症」。そのRSウイルスに感染する子どもがいま増えています。本来の流行期は11月ごろから1月ごろですが、新型コロナウイルスの感染予防や行動制限などの影響で、ここ数年、夏や秋にも流行するようになっています。

【RSウイルス感染症とは】
厚生労働省などによりますと、RSウイルス感染症は感染法上、季節性インフルエンザや新型コロナウイルス感染症と同じ「5類」に位置づけられる呼吸器の感染症で、1歳までに半数以上が、2歳までにほぼ100%が感染するとされています。
RSウイルスに感染してから2日から8日の潜伏期間を経て、発熱や鼻水などの症状が数日続き、多くは軽症で済みますが、せきがひどくなったり、呼吸困難になったりすることがあるということです。
特に、初めて感染した場合は症状が重くなりやすいといわれ、子どもが生後数週間から数か月間に感染した場合には、細気管支炎や肺炎といった重い症状が出ることがあるということです。
また、早産で生まれた子どもや、心臓や肺に基礎疾患があったり、神経や筋肉の病気を持っていたりする子どもは重症化するリスクが高く、注意が必要です。
流行期は、例年11月ごろから1月ごろにかけてですが、新型コロナウイルスの感染拡大で多くの人の行動が制限されたことから時期がずれ、おととしは夏に流行し、去年は夏の終わりから秋にかけて流行したということです。
現在、国内ではワクチンはなく、子どもが日常的に触れるおもちゃや手すりなどをアルコールで消毒するほか、手洗いを徹底させることが大切だということです。

【道内の感染状況は】
道は、RSウイルス感染症の患者の発生状況をあらかじめ指定した137の医療機関に1週間ごとに報告してもらう「定点把握」を行っていて、数値を公表しています。
それによりますと、今月21日までの1週間に報告があった▼患者数はあわせて334人で、▼1つの定点あたり平均で2.44人の新たな患者が確認されています。
▼全国の1つの定点あたりの平均は1.56人で、北海道は全国の平均より0.88人多くなっているほか、▼前の週の今月14日までの1週間の定点あたりの平均の人数2.02人と比べると0.42人増えています。
このうち、札幌市では今月21日までの1週間で1つの定点あたり平均で3.46人の新たな患者が確認されています。
去年の同じ時期には0.54人だったため、6倍以上となっています。
札幌市の担当者は「ことしは例年に比べて早くから感染者が増加している。子どもたちには手を洗うことを徹底させるほか鼻水やせきなどの症状が出た場合、早めに小児科を受診してほしい」と呼びかけています。

【大型連休明けから】
札幌市の「円山ため小児科」では、大型連休明けからRSウイルスの感染が疑われる子どもの来院が増え、現在は1日に20人ほどが、RSウイルスに感染しているか、または感染が疑われると診断されているということです。
30日は、生後11か月の男の子を連れた母親がクリニックを訪れ、男の子は検査の結果、RSウイルス感染症だと診断されました。
母親は「38度以上の熱が2日ほど続いたので心配して受診しました。保育園からRSウイルスの話は聞いていましたが、本当に感染するとは思っていませんでした。食事や水分補給をしっかりとして、最近は寒暖差も大きいので服装に気をつけて安静に過ごさせたいです」と話していました。
クリニックの多米淳院長によりますと、RSウイルス感染症は子どもが小さいほど重症化しやすく、特に生まれて1か月未満の赤ちゃんが感染すると呼吸が困難になるケースもあるということです。
多米院長は「幼稚園や保育園に通っている子どもがRSウイルスに感染し、家に帰って赤ちゃんにうつして重症化するというパターンが多い。手洗いや換気などの基本的な対策を行うほか、子どもが鼻水を出しているとか、呼吸が苦しそうといった兆候が少しでもある場合は早めに小児科を受診してほしい」と話していました。