深刻な卵不足続く北海道 兵庫県の会社から卵届く

鳥インフルエンザの影響で卵が手に入りにくい状況が続く中、札幌市内のスーパーに、ニュースなどで卵不足を知った兵庫県の養鶏会社から卵およそ700パックが届きました。

札幌市手稲区にあるスーパーには、22日、卵690パックが入荷しました。
この店では、鳥インフルエンザの影響で、ことし3月以降、卵の入荷が多い日で20パックしかない状況が続いていましたが、これをニュースなどで知った兵庫県の養鶏会社から卵を卸したいという連絡があり、22日に届いたということです。
卵は兵庫県から札幌市までトラックで運ばれ、輸送コストがかかったため、1パックあたり税込みで430円と、これまでより100円以上高い値段で販売されましたが、23日は開店直後から多くの買い物客が卵を買っていました。
卵を買った女性は「卵はないと不便なのでありがたいです。値段が高くても買うしかないですね」と話していました。
値段を理由に購入を見送った男性は「もうちょっと安いなら買いたかった。なんでも高くなってきているので10円でも安いほうがいい」と話していました。
「キテネ食品館」の中塚誠社長は「まさかこのような形で卵を卸してくれるとは思っていなかったのでありがたいです。卵は生活に必要なものだと店側でも実感しています」と話しています。

このスーパーに卵を卸した兵庫県の養鶏会社によりますと、北海道で卵が不足していることをニュースで知り、札幌市内のスーパーに卵を卸すことを決めたということです。
この養鶏会社は先週、手稲区のスーパーなど札幌市内の2つの店舗に、合わせておよそ1300パックの卵を卸したということです。
この会社の担当者は、「インターネットでニュースを見て、北海道では卵が不足していることを知った。自社の通販サイトでは先月から札幌在住の方からの注文が増えていたので、皆さん卵を食べたくても食べられないのだなと思い、こちらからスーパーに声をかけさせてもらった」と話していました。
卵はトラック輸送で兵庫県から北海道まで届けたということで、会社の担当者は、「卵は関西でも不足していて、今後、札幌の店舗にどれだけの量を届けられるか約束できないが、卵を必要としている方がいればこれからも届けていきたい」と話しています。

【卵の流通に詳しい専門家は】
卵の流通に詳しい東京農業大学の元教授で「日本養鶏協会」のエグゼクティブアドバイザーの信岡誠治さんは、全国で卵の供給量が1割以上減っている中、卵を買いだめしておきたいという消費者心理が働いた結果、卵が手に入りにくい状況が生まれているのではないかと指摘しています。
信岡さんは「消費者が卵が手に入らなくなることを懸念して、もう1パック買っておこうということになれば、足りなくなるなるのは当たり前のことだ。北海道では供給量が2割程度減っているので、ほかの地域よりも卵不足を実感しやすい状況となっている」と話しています。
また、卵の価格について信岡さんは「ニワトリのエサとなる飼料の価格も高騰しているため、今後、卵の供給量が元に戻ったとしても安く買えるという見通しがたたないのではないか」と分析しています。