新型コロナ 週1回公表「定点把握」のデータどう見るか

新型コロナウイルスの「5類」移行に伴い、感染状況の把握方法が変わり、18日初めて公表されました。具体的には、すべての感染者の報告を求める「全数把握」から、指定した道内221の医療機関からの週1回の報告をもとにした「定点把握」に変更されました。
これから公表される数字をどのように見て、どこに気をつけたらいいのか、データや専門家への取材をもとにお伝えします。

【「定点把握」による道内の感染状況】
18日公表された「定点把握」による道内の感染状況です。
今月14日までの1週間、指定された道内221の医療機関から報告された患者数は964人。
1つの医療機関あたりの平均の患者数は4.36人でした。
また、道は感染の推移を分析するため、去年10月から今月7日までの週ごとの感染者数についても「定点把握」で集計し直しました。
この期間で最も多かったのはいわゆる「第8波」だった去年11月20日までの1週間の45.15人で、それ以降は減少しましたが、ことし3月下旬に上昇傾向に転じています。

【「定点把握」注意報・警報の基準は】
患者数の「定点把握」は、「5類」に位置づけられたほかの感染症についても行われています。
季節性インフルエンザの場合は、1つの医療機関あたりの平均の患者数について、▼10人を超えると4週間以内に大きな流行が起きる可能性がある「注意報」、▼30人を超えると大きな流行が起きている、または継続しつつあることが疑われる「警報」のレベルにあたるとするなど基準を設けています。
一方、厚生労働省は、新型コロナウイルスについてはデータの蓄積がないため当面は基準を作れないとしています。
これについて、道は「過去の感染状況などと比較しながら『定点把握』をモニタリングし適切に呼びかけや注意喚起を行っていきたい」としています。

【「定点把握」の感染状況をどう見ればよいか】
「定点把握」で公表されることになった感染状況を私たちはどのように見たらいいのか、感染症学が専門の札幌医科大学の横田伸一教授に話を聞きました。
横田教授は、感染状況について、「今の数字だけではなくて継続して出てくる数字を見て流行をとらえていくことが必要で、どれくらいのスピードで増加、または減少しているのか見極めが必要だ」としています。
また、警報や注意報の基準については、新型コロナは季節性があるかどうかなどが分からないことから、難しい点もあると指摘した上で、「今後、基準は設けたほうがいいのではないかと思う。市民にとってもどういう状況なのか数字だけで把握するのは難しいので、今すぐではなくても行政が感染状況を見極めながら警報などを出す必要性も出てくると思う」としています。