札幌中島公園付近の複合ビル概要発表 相次ぐ再開発 背景は

札幌市中心部で再開発の動きが相次ぐ中、中島公園の周辺に建設される複合ビルの概要が発表されました。すでに本社機能の一部を札幌に移している生命保険会社のオフィスや、外資系のホテルなどが入り、2025年の完成を目指すとしています。

発表によりますと、アクサ生命は札幌市中央区にある中島公園の周辺に地上14階の複合ビルを建設し、2025年6月に完成する予定です。
▽災害リスクを分散するためとして、2014年に本社機能の一部を東京から札幌に移したこの生命保険会社のオフィスのほか、▽上層階には道内初となる「インターコンチネンタル」ブランドの高級ホテルが入るということです。
また、災害時などに業務を継続するための対策として非常用発電機などを備え、最大14日間はインフラが寸断した状況に対応できるとしています。
アクサ生命の安渕聖司社長は18日の発表会で、「地域の安全・安心を支えるとともに、地域のランドマーク施設として新たなプロジェクトを完成させたい」と述べました。

【再開発の動き】
札幌市中心部では再開発の動きが相次いでいます。
《新幹線札幌駅直結の再開発ビル》
このうち、ことし8月末に閉店する札幌駅前の商業施設「エスタ」の跡地と隣接する地区には、現在、道内で最も高い地上38階・高さおよそ173メートルの「JRタワー」を上回る地上43階・高さおよそ245メートルのビルが建設される予定です。
工事は来年春ごろから始まり、2028年度の完成を目指しています。
このビルは新幹線の札幌駅に直結し、オフィスや商業施設、高級ホテルやバスターミナルなどが入るほか、展望施設も設けられる予定です。
《狸小路の複合ビル》
また、先月完成した狸小路商店街に隣接する地上28階・高さおよそ120メートルのビルには、マンションや商業施設のほか4階から6階には水族館が入ります。
このうち商業施設と水族館は、ことし7月にオープンする予定です。
《ススキノラフィラ跡地》
さらに、「ススキノラフィラ」の跡地では、地上18階・高さおよそ79メートルのビルの建設が進められています。
ビルには食品スーパーや飲食店、それに映画館やホテルなどが入り、ことし秋に完成する予定です。
「すすきの交差点」に面する立地を生かして、ビルの壁面には大規模な屋外広告が設置されることになっています。

【相次ぐ要因は】
札幌市によりますと、市の中心部で計画されている再開発の案件は先月時点で少なくとも23件あり、そのほとんどが北海道新幹線の札幌延伸が見込まれる2030年度末までの完成を予定しているということです。
札幌市は、市内で再開発の動きが相次ぐ背景には3つの要因があるとしています。
具体的には、▼市内中心部には、1972年に開かれた札幌オリンピックの前後に完成した建物が多く、50年程度経過して更新時期を迎えていること、▼そのタイミングに北海道新幹線の札幌延伸が重なり、開発事業者の投資意欲が高まっていること、▼さらに、札幌市が5年前から容積率を緩和する対象を広げるなどして再開発を後押ししているため、としています。
ただ、建設資材の高騰や人手不足などを理由に、一部の計画では内容の見直しを検討する動きも出ているということです。
札幌市都心まちづくり推進室の永井雅規事業調整担当課長は「札幌市が都市間競争で勝っていくためには、今後も再開発は大事になってくる。資材の高騰や人手不足が課題になっていて、行政でできることは限られているが、容積率緩和の支援メニューに加えて、建設費用の一部を補助する制度を積極的にPRして下支えしていきたい」と話しています。