北海道電力の「規制料金」6月使用分から20%余値上げ見通し

政府は物価問題に関する閣僚会議を開き、北海道電力を含む大手電力7社が国に申請している電気料金の値上げを了承しました。北電の値上げ幅は平均で20%あまりとなり、来月の使用分から値上げが実施される見通しです。

家庭向けで契約者が多い「規制料金」をめぐっては、北電を含む大手電力7社が、火力発電に使う天然ガスなどの価格が高騰し財務体質が悪化しているなどとして、値上げを国に申請していました。
こうしたなか政府は16日、物価問題に関する閣僚会議を開き、7社の値上げについて査定方針案を了承しました。
経済産業省によりますと、このうち北電の平均の値上げ幅は当初の申請より圧縮され、送配電網の利用料金の改定分を含めると、31.4%から20.1%になるということです。
経済産業省では、▼エネルギー価格が下落した去年11月からことし1月までの3か月間の燃料費をもとに算定し直したほか、▼従業員の給与水準や、▼発電所の修繕費などについても厳格に査定したと説明しています。
北電を含む電力7社は、この査定方針を踏まえ、国に改めて値上げの申請を行っていて、経済産業大臣が認可すれば来月の使用分から値上げが実施される見通しです。
北電の「規制料金」の値上げは、泊原子力発電所の長期停止に伴い経営が悪化し平均で15.3%の値上げが認められた2014年以来です。

【平均的家庭で1518円負担増】
北電が16日に改めて申請した内容で「規制料金」の値上げが認可された場合、私たちの電気料金はどうなるのでしょうか。
北電によりますと、▽燃料費の変動分を毎月の電気料金に反映する「燃料費調整制度」と▽政府による負担軽減策を踏まえると、来月(6月)使用分の電気料金は、使用量が平均的な家庭で8299円になるということです。
今月(5月)使用分の電気料金は、使用量が平均的な家庭で6781円のため、1518円、率にして22.38%利用者の負担が増えることになります。
また北電は、オール電化向けの料金メニューなど、電力の小売り事業者が独自に料金を決められる家庭向けの「自由料金」についても、「規制料金」と同じ日から値上げを行うとしています。

【北電社長“非常に厳しい”】
北海道電力の藤井裕社長は記者会見で、値上げ幅が当初の申請より圧縮されたことについて、「国の査定結果については非常に厳しいものだと受け止めている。収支への影響を最小化できるよう努力したい。また、お客様には値上げ率が低減することになったが、厳しい経済情勢のなか一層の負担をかけることを誠に申し訳なく思う」と述べました。
その上で、再稼働を目指す泊原子力発電所3号機について、「2026年12月の再稼働を目標に進めていて、その時の燃料事情などを踏まえて適正な水準での値下げを行いたい」と述べましたが、具体的な値下げ幅については言及しませんでした。

【道民の声】
北海道電力の電気料金が値上げされる見通しとなったことについて、札幌市中心部で聞きました。
20代の男性は「なるべく待機電力を使わないようにプラグを抜くなど心がけているが、もう少し賃金を上げるか、物価を安くしてほしい」と話していました。
また、60代の女性は「値上げはしかたないと思うが、これから夏になってエアコンを使うと電気料金がボディーブローのように効いてくると思う」と話していました。
一方、60代の男性は「世界のエネルギー状況を考えると、値上げはやむをえないと思う」と話していました。