函館空港と台湾結ぶ定期便再開 相次ぐ国際線の再開も課題が

新型コロナウイルスの影響で運休が続いていた函館空港と台湾を結ぶ定期便が、12日におよそ3年3か月ぶりに再開しました。

運航を再開したのは格安航空会社「タイガーエア台湾」の函館空港と台湾の台北を結ぶ定期便で、国際便の運航はおよそ3年3か月ぶりとなりました。
12日午前11時すぎ、ほぼ満席のおよそ170人を乗せた航空機が函館空港に着陸し、消防車両が放水でアーチを作って歓迎しました。
また国際線の到着ロビーでは、市や空港、観光業界の関係者が「歓迎」などと書かれた横断幕を掲げて、中国語で「ようこそ」と声をかけながら拍手で出迎えました。
市などによりますと6月末までは週2往復、7月から10月28日までは週5往復、運航する計画だということです。
台湾から来た観光客は「直行便が再開したおかげで早く来ることができました。新鮮な海鮮や函館山からの夜景が楽しみです」と話していました。
函館市では新型コロナ感染拡大前の平成30年度、市内に宿泊した外国人観光客のうち台湾が半分近くを占め、市は運航の早期再開を目指してきました。
函館市観光部の柳谷瑞恵部長は「本当に念願だったのでお迎えすることができてうれしく思います。両地域の往来が活性化することに期待し、消費の拡大や長期滞在にむけて観光コンテンツをつくっていきたい」と話していました。

【道内の国際線 週85往復まで回復】
道内の空港では、新型コロナの感染拡大で令和2年の3月から去年7月まで、およそ2年4か月にわたり国際線の発着がゼロとなりましたが、その後、運航再開が相次ぎ、現在、道内の空港を発着する国際線の定期便はあわせて週85往復まで回復しています。
具体的には▼新千歳空港と▽韓国のソウルとプサン、▽台湾の台北、▽香港、それに▽台北経由でシンガポールを結ぶあわせて週82往復に、▼今月9日に運航が再開した旭川空港と台北を結ぶ週1往復、そして12日再開した▼函館空港と台北を結ぶ週2往復となっています。
新型コロナの水際対策を巡っては、政府が先月29日から入国者に対する3回のワクチン接種の証明書の提出を終了したほか、中国本土からの直行便を対象に入国者の一部に限定して行ってきた「サンプル調査」も取りやめました。

【新千歳空港では人手不足が課題】
国際線の運航再開が相次ぐなか、新千歳空港ではさまざまな業務で人手不足が課題となっています。
このうち、空港内で営業するジェラート店では、コロナ禍で航空便の利用客が大幅に減少したことで客足が減り、去年、2か月にわたり休業しました。
その際にアルバイト従業員が店を辞めていったということですが、国際線の運航再開が相次ぐなか、再びコロナ禍前と同様の従業員数を確保するのは難しく、現在も時短営業を余儀なくされています。
「Milkissimo新千歳空港店」の金森優希店長は、「混んでいる時はお客さんを待たせてしまうような状況で心が痛みます。日中の時間帯に応募してくれる人がいなくて、苦労しています」と話していました。
新千歳空港を運営する「北海道エアポート」によりますと、新千歳空港で働く人の数は、令和2年度は、9000人余りでしたが、昨年度はおよそ7700人まで減少したということです。
こうした中、「北海道エアポート」は、新千歳空港で募集しているさまざまな業種の求人を一括して閲覧できる採用ホームページをことし3月に新たに開設しました。
目につきやすい仕事だけではなく、さまざまな職種に関心を持ってもらい再び、空港で働く人たちを増やしていきたいとしています。

【回復もコロナ禍前の3割にとどまる】
道内の空港で国際線の運航再開が相次いでいますが、一方で、新型コロナの感染拡大前の4年前と比べると3割余りにとどまっています。
中国政府が団体旅行での日本への渡航を認めていない中、中国本土とを結ぶ便がいまも運航されていません。
また、ロシアによるウクライナ侵攻が続く中、航空機がロシア上空を飛ぶことが出来ず、フィンランドとを結ぶ便の運休が続いているほか、ロシアとを結ぶ便の再開も見通しが立っていません。
道は今後、中国本土との直行便の再開に向けて航空会社への働きかけを強めるとともにハワイやオーストラリアとを結ぶ便の再開に向けても取り組みを進めることにしています。