ことしのクマ目撃情報308件 過去最多だった去年同期上回る

ことしに入って5月9日までに道警に寄せられたクマの目撃情報の件数は300件余りで、1年間の件数が過去最多だった去年と同じペースになっています。

道警によりますと、ことしのクマの目撃件数は▼1月から3月までに66件、▼4月に172件、そして▼今月は9日までに70件で、合わせて308件に上っています。
これは、1年間の目撃件数が2240件と、統計を取り始めてから最も多くなった去年の同じ時期と比べて18件多いということです。
一方、ことしに入ってクマに襲われてけがをしたのは2人で、▼2月には函館市の山林でせんてい作業をしていた60代の男性が手や足にけがをし、▼先月には道東の厚岸町で犬の散歩をしていた30代の女性が頭や太ももをかまれる大けがをしました。
4月から6月にかけては、山菜採りなどで山を訪れクマと遭遇するケースが多いということで、道警は▼複数人で音を鳴らしながら行動し、▼目撃しても絶対に近づかず警察に通報するよう呼びかけています。

【札幌市ヒグマ対策会議】
札幌市内でクマの目撃情報が相次ぐ中、市は今年度初めてとなるヒグマ対策委員会を開き、市街地への侵入を防ぐための対策などを盛り込んだ新たな基本計画にもとづいて被害の防止にあたる方針を確認しました。
10日、札幌市で開かれたヒグマ対策委員会には、市や警察の担当者のほか、猟友会の関係者や専門家らおよそ30人が出席しました。
会議では、先月、南区白川でクマ1頭が出没し駆除されるなど目撃情報が相次ぐ中、市が新たに策定した対策の基本計画にもとづいて被害の防止にあたる方針を確認しました。
計画では、人とヒグマの住み分けを進めるため、▼「市街地」と、▼農地や小規模集落を指す「市街地周辺」、▼人が出入りする自然歩道など市街地に接する「都市近郊林」、それに▼「森林」の4つのゾーンに市内を区分けします。
そのうえで、それぞれのゾーンに応じて、▼クマを寄せつけないためのごみの管理や▼草刈り、▼電気柵の設置や▼放置された果樹の伐採など、対策を講じます。
さらに、西区の三角山や中央区・南区の藻岩山とその周辺の山を含む地域を「ヒグマ対策重点エリア」と定め、クマの定着を抑え込むための対策を講じ、登山者などへの普及啓発を強化します。
委員会のメンバーでヒグマの生態に詳しい酪農学園大学の佐藤喜和教授は「生活圏の安心と安全を守るため、市民にはクマが冬眠から覚めてくるこの季節は対策を意識してほしい」と話しています。