新型コロナ「5類」移行 何が変わるのか 函館で取材
新型コロナウイルスの感染症法上の位置づけが、8日から季節性インフルエンザなどと同じ「5類」に移行しました。これまでと何が変わるのか、函館で取材しました。
【街の人は】
函館の街の人たちからは、「マスクを外すことにした」といった声や、引き続き感染対策を取りたいという声が聞かれました。
新型コロナウイルスが「5類」に移行したことで、これまでのような行動制限はなくなり、感染対策が個人の判断に委ねられます。
市内の男子高校生は「自分はもうマスクを外しました。経済活動も再開されるのでいいと思います」と話していました。
一方、別の男子高校生は「マスクをしない人が増えたので、少し不安な気持ちになります。大型連休明けでもあるため、今はまだマスクを付けようと思っています」と話していました。
また横浜から旅行に来ているという男性は「自己負担が増えるため、うかつにコロナにかかることが出来ないと感じています」と話していました。
札幌から来ているという女性は「マスクをしない人が多くなったと感じますが、個人の思いがあるのでよいのではないかなと思っています。ですがコロナがなくなったわけではないので、手洗いうがいなどの基本的な感染対策は続けていきたいと思います」と話していました。
【飲食店は】
新型コロナの位置づけが5類に移行したことの受け止めについて、函館市の大門地区にある海鮮居酒屋が取材に応じました。
この店は感染対策がとられている店に道が「お墨付き」を与える「第三者認証」を取得し、感染対策を徹底してきました。
しかし、8日からこの制度は廃止され、道からも感染対策の緩和を許可するメールが届いたことなどを受け、店はテーブルの間を仕切る透明のシートを取り外すことにしました。
一方、店内にある消毒液のほか、客からの要望でカウンター席に設置した仕切りは当分の間、残すということです。
ことしの大型連休中は多くの観光客が訪れ、予約でいっぱいの状態だったということで、客足のさらなる回復に期待を寄せています。
海鮮居酒屋「遊魚舟」店主の宮口圭子さんは「感染対策だけでなく、店内を衛生的に保つために手洗いや手指消毒は続けるつもりです。コロナ禍前のように、飲食店で食事やお酒を普通に楽しめる状況になることを期待しています」と話しています。
【医療機関は】
新型コロナの位置づけが5類に移行したことに伴い、医療の提供体制も変わります。
ワクチン接種は来年3月まで無料ですが、これまで公費でまかなわれていた検査や外来診療の窓口負担などは今後、自己負担が求められます。
函館市内の深瀬医院では、保険診療で窓口負担3割の人が診察とPCR検査を受けた場合、およそ5000円の自己負担が発生するということです。
また、新型コロナの専用病床を4床設けて軽症などの入院患者を受け入れてきましたが、5類移行に伴って専用病床がなくなるため、院内感染を防ぐための対策を取りながら、受け入れていくということです。
一方、発熱などの症状がある患者については、それ以外の患者との接触を避けるため、独自に設置している発熱外来専用のプレハブの建物で当面、診療を続けるということです。
深瀬医院の深瀬晃一院長は「新型コロナが2類から5類になることで、患者の費用負担がかなり大きくなります。ワクチンの接種も今年度は公費で出ますが、それ以降はどうなるか分かりません。所得のあまり多くない人などは治療や検査が受けにくい状況になることが懸念されます。患者の立場にたって、診療費などをどこまで下げられるのか、私たちもしっかり努力をしないといけないと思います」と話していました。