ふるさと納税 相次ぐ返礼品の産地偽装 なぜなくならない
ふるさと納税の返礼品をめぐっては、全国的に自治体と契約している業者が産地を偽装するなどのケースが相次いで報告されています。
大分県佐伯市では、地元産の牛肉を返礼品としていましたが、契約していた業者がほかの県で生産された牛肉を大分県産と表示していたことが3年前に明らかになりました。
当時の県の調査で、業者は「受注が増えて仕入れが間に合わなかった」と説明したということです。
このケースを受けて、佐伯市は、契約している事業者に対して、在庫状況を確認しているほか、コンプライアンスの徹底などを呼びかけているということです。
また、岩手県八幡平市では、2019年に、返礼品のまつたけを岩手県産であるような表示をして返礼品にしていたことが明らかになりました。
八幡平市は、県産かどうかのチェックや十分な量の確保が難しいとして、その後、まつたけを返礼品として扱うことを取りやめました。
このほか、奈良県大和高田市では、中国産のうなぎを国産と表示していたケースや鹿児島県湧水町で外国産だったごま油の原料を国産としていたケース、それに、沖縄県恩納村で地元産のしいたけに他の県で生産されたものをまぜていたケースが報告されています。
【専門家「チェック難しい」】
ふるさと納税の返礼品で自治体と契約した業者による偽装などの不正が相次いでいることについて、地方財政が専門の北海学園大学経済学部の西村宣彦教授は「財政が厳しい自治体が少しでも寄付を増やしたいという思いで取り組んでいるところも少なくない中、返礼品を十分に用意できないにも関わらず、寄付を集めてしまっている制度のゆがみが問題として出てきている」と指摘しています。
その上で、「自治体も行財政改革を進めて職員の数も減っている。たくさんの返礼品を契約業者に出してもらっているなかで、偽装がないかチェックするのは難しい」と話しています。
そして、自治体側の対策としては、「返礼品の量を確保できないということであればそれ以上は寄付を受け付けないことが自治体には求められる。そういう当たり前のことをやってもらわないと、地域のブランドや自治体の信用、ふるさと納税制度に対する信頼が損なわれてしまう」と話しています。
【道「返礼品の扱い適正か確認求める」】
ふるさと納税の寄付額は、令和3年度のデータで道内の自治体の総額が47都道府県で最も多くなっています。
道内では、紋別市が全国で最も寄付額が多く根室市が3位、白糠町が4位となるなど、返礼品に魅力がある自治体への寄付額が多い傾向にあります。
ふるさと納税を担当する道の市町村課は、利尻町で返礼品のウニの産地が偽装されていたことが明らかになったあと、道内の自治体に対して、返礼品の取り扱いが適正か、改めて確認するように求めたということです。