去年から成人年齢引き下げ 新生活に伴う契約トラブルに注意
進学や就職などで、若者が1人暮らしを始めるシーズンになりました。こうした中、去年4月に成人年齢が引き下げられ、さまざまな契約を若者自身がすることにより、トラブルに巻き込まれることもあることから、札幌市の消費者センターなどでは、改めて注意を呼びかけています。
国民生活センターでは、新たに1人暮らしを始める人が多くなるこの時期の「5大消費者トラブル」として、(1)「住宅の賃貸」の契約、(2)引っ越しや不用品回収などの「引っ越し関連」、(3)新生活を狙った「訪問販売」、(4)人間関係を利用した「もうけ話」、(5)スマートフォンやネット回線などの「通信契約」の5つをあげています。
また、国民生活センターによりますと、成人年齢が引き下げられた去年4月以降、道内では、▼18歳、19歳の成人になったばかりの若者からは267件、▼20代からは2389件の消費者トラブルの相談が寄せられたということです。
このうち、▼賃貸マンションを退去する際に立ち会った不動産業者から「問題ない」と言われたにもかかわらず、あとから原状回復のための費用を請求されたなど、住居の賃貸契約に関する相談が315件と最も多くなりました。
次いで、▼脱毛エステに関する契約が299件、▼出会い系サイトに関する契約が132件などとなっています。
このほか、札幌市消費生活課によりますと、▼「楽に稼げる」として友人や先輩から紹介を受け、高額な投資教材の購入を求められるなど、副業や内職に関するトラブルについても、多くの相談が寄せられているということです。
札幌市消費生活課の高橋博英課長は「18歳で成人を迎えて自由に契約ができるようになりますが、それには責任も伴います。契約前には内容をよく確認し、断る勇気も必要だと思います。トラブルに巻き込まれたときには、消費者ホットライン『188』を活用してください」と呼びかけていました。
【大学でも注意喚起】
札幌市豊平区にある北海学園大学では、毎年4月に新入生に学内の施設や禁止事項などをまとめた冊子を配布しています。
去年からこの冊子に、成人年齢の引き下げについて新たなページが追加され、▼クレジットカードの作成など、親の同意がなくてもできることがある一方で、▼飲酒や喫煙、ギャンブルなど20歳にならないとできないことを説明しています。
また、闇バイトや架空請求などについての記述も増やし、トラブルに巻き込まれた場合、一定の期間であれば無条件で契約の申し込みを撤回したり解除したりできるクーリングオフの制度や相談窓口についても案内しています。
大学2年生の男子学生は「知り合いから、リボ払いで大きな金額を払うことになったと聞いた。一人暮らしをしているので、契約書などをしっかり理解することが大事だ」と話していました。
また、大学院1年生の男子学生は「何か契約をする際には、親など第3者に契約書を見てもらって、必ず意見を求めるようにしたい」と話していました。
北海学園大学学生課の矢留英寿係長は「学生生活が始まり、浮き足立っているところもあると思う。新生活をトラブルなく過ごしてほしいので、事前に知識を備えられるよう注意喚起をしていく」と話しています。