水害への備えと漁業資源回復の両立 新たな治水対策議論始まる

水害への備えを強化しながら、サケなどの資源の回復にもつながる新たな治水対策について議論する会合が帯広市で始まりました。最新の治水工事では、川の自然環境を再生して生息する魚を増やせる可能性があり、治水と資源回復を両立させた計画の策定を目指したいとしています。

この会合は、近年、深刻な水害が全国各地で相次ぐなか、十勝川の新たな治水対策を自然環境に配慮しながら進めようと北海道開発局帯広開発建設部がはじめて開き、土木や生物の専門家など11人が参加しました。
会合の目的は、水害への備えを強化するだけでなく、サケなどの資源の回復にもつなげることで、最新の治水工事では、川の自然環境を再生して生息する魚を増やせる可能性もあることから、治水と資源回復を両立できる最も効果的な対策について検討します。
具体的には、河川敷を掘削して川の水が流れる面積を増やす「河道掘削」という工事を自然環境の再生も視野に入れながら行うと、▼大雨が降ったときにより多くの水をためることができるだけでなく、▼湿地帯や水たまりをつくってサケなどの生息域を広げることができるということで、最新の科学に基づいた新たな計画の策定を目指したいとしています。
委員長を務める北海道大学大学院の中村太士教授は「漁業者など地域と方々の理解を得ることが重要で、取り組みの効果について科学的に評価、検証しながら進めていきたい」と話していました。