知床沖観光船沈没事故を受け 海上運送法などの改正案閣議決定

北海道の知床半島沖で起きた観光船の沈没事故を受けて、政府は運航管理者の試験制度の創設や罰則の強化を盛り込んだ海上運送法などの改正案を閣議決定しました。

去年4月に知床半島沖で起きた観光船の沈没事故を受けて、国土交通省は旅客船の安全対策を検討する委員会を設置し、「事業者の安全管理体制の強化」や「船員の資質の向上」、「監査・処分の強化」など7つの分野の66項目に上る安全対策をとりまとめました。
政府はこれらの対策を速やかに講じる必要があるとして、3日、海上運送法など関係する法律の改正案を閣議決定しました。
それによりますと、▼不適格な事業者を排除して安全管理体制を強化するため、運航管理者の試験制度を創設するほか、▼法令に違反した事業者への罰則を強化します。
具体的には、これまでは行政処分として出される輸送の安全確保命令に違反した場合、事業者や船長などの個人に科される罰金はいずれも100万円以下でしたが、▼事業者への罰金を最高で1億円に引き上げるほか、▼個人への罰金を150万円と重くし、1年以下の懲役刑も設けるということです。
斉藤国土交通大臣は閣議後の会見で、「法案の成立後は措置が可能なものから速やかに施行していき、旅客船の安全・安心対策が実効性のあるものとなるよう引き続き全力で取り組んでいきたい」と述べました。
政府はいまの通常国会で改正案の成立を目指す方針です。