“軍事利用”研究に北大が審査制度導入 懸念指摘も

北海道大学は、国内外の軍事や防衛を所管する機関などから研究資金の提供を受ける際、軍事利用に限定された研究にならないよう、学内の委員会が審査する制度を新たに導入しました。これに対し、大学の教職員でつくる組合は、審査をすること自体が軍事研究を認めることにつながりかねないとの懸念を指摘しています。

新たな審査の制度は北海道大学が導入したもので、国内外の軍事や防衛を所管する機関などから研究資金の提供を受ける際、学内の委員会が資金提供を受けて良いかどうかを審査するとしています。
審査は、軍事目的の研究にならないよう見極めるのが目的で、民生の研究を加速させるかや、研究の自由や成果の公開が確保されているかなどの観点で設けた基準をもとに判断するとしています。
大学は、研究活動の国際化が進むなか、透明性を保つよう求めた政府の方針などに基づいて導入した制度だとしていますが、大学の教職員で作る組合は審査をすること自体が軍事研究を認めることにつながりかねないとの懸念を指摘しています。
組合の山田幸司執行委員長は、「国内外の軍事・防衛機関との関係が始まれば、国際学会に出た研究者が仮想敵国に拘束されるなどのデメリットも考えられる。大学の今後の活動に大きな影響を与えることは避けられない」と述べています。
この懸念について、北海道大学は、NHKの取材に対し、「大学として軍事利用に限定した研究を行わない方針はすでに決定している。その一方で、軍事転用の潜在的な可能性だけで軍事研究と判断してしまい、先端科学技術の研究活動を萎縮させるのは避けるべきと考える。そのために審査制度を設けたもので、適切なマネジメントを行っていきたい」とのコメントを出しました。