養殖場で繁殖繰り返したヤマメ 側線少なく生存率低下の可能性

川魚の「ヤマメ」のうち、養殖場で繁殖を繰り返してきたものは水流などを感知する「側線」と呼ばれる体の器官が野生のものより少なくなっていて、放流後の生存率が低くなる可能性があることが国立科学博物館などの研究で分かりました。

国立科学博物館と水産研究・教育機構は後志の尻別川水系に生息する野生のヤマメと養殖場で13代、およそ40年にわたって繁殖を繰り返してきたヤマメそれぞれ30匹について、「側線」の数を比較しました。
側線は魚の頭や体にある水流や振動を感知するための器官です。
その結果、養殖場で繁殖を繰り返したヤマメは側線が退化し、野生のヤマメに比べて側線の数がおよそ10%少なくなっていることが分かりました。
ヤマメの一部は海に下ってサクラマスとなり再び育った川に遡上しますが、側線が少なくなると放流後の生存率が低くなる可能性があるということです。
水産研究・教育機構の長谷川功主任研究員は「養魚場で世代交代を繰り返したヤマメを放流しても期待するほど増えないと指摘されていたが、今回の研究はその指摘の根拠の1つを示す結果になったと思う」と話していました。