ブラックアウトに備え北海道電力と海上自衛隊が函館港で訓練

4年前の胆振東部地震で道内のほぼ全域が停電した「ブラックアウト」に備えて、北海道電力と海上自衛隊が大規模な災害時に燃料の受け渡しをする訓練を函館港で行いました。

北海道電力は3年前から毎年、ブラックアウトに備えた訓練を行っていて、22日に函館港で行われた訓練には、北海道電力の子会社で送配電事業を手がける北海道電力ネットワークと海上自衛隊の大湊地方総監部が参加しました。
訓練は、胆振東部で震度7の地震が発生し、発電所が停止してブラックアウトしたという想定で行われ、海上自衛隊が、移動式の発電機での発電に必要な軽油を道外から緊急輸送する手順を確認しました。
港では、海上自衛隊の艦船から燃料に見立てたドラム缶をクレーンで下ろして、北海道電力ネットワークのトラックに積み込み運んでいきました。
北海道電力ネットワーク函館支店配電部の加藤健治主任は「今後も災害時の停電の早期復旧につとめ、道内の電力安定供給に取り組んでいく」と話していました。

【北電のブラックアウト対策】
北海道は、まもなく厳しい冬を迎えますが、冬場の停電は、状況によっては生命にも関わります。北電は再発防止に向けた対策を
行ってきました。
《発電・送電設備の地震対策》
4年前に発生したブラックアウトは、地震によって▼道内で最大の火力発電所の苫東厚真火力発電所の運転がすべて停止したことに加えて、▼道央と道東を結ぶ送電線「狩勝幹線」などがショートし、道東の水力発電所から電力の供給が途絶えたことが大きな要因でした。
このため、北海道電力はこれらの設備について地震への対策を強化してきました。
苫東厚真火力発電所では、地震の影響で、1号機と2号機のボイラーの配管が損傷したため、配管の形状を変えるなどして耐震性を強化しました。
また、「狩勝幹線」では、送電線どうしを接続する「ジャンパ」と呼ばれる部分が、地震の揺れで鉄塔と接近してショートを起こさないように、「ジャンパ」に新たな部品を取り付けて、跳ね上がりを抑える対策をとりました。
《停電エリアを広げないために》
仮に一部の発電所が停止して停電が起きたとしても、ブラックアウトまで至らせないための対策も始まっています。
通常、地震で発電所の運転が停止して供給力が落ちた場合、供給力が足りないエリアを自動的に停電させるシステムが作動して需要を減らすことで、需給のバランスが保たれ、その他のエリアでの停電を防いでいます。
しかし、胆振東部地震では、北電の想定以上の規模で発電所が停止したため、ブラックアウトが発生しました。
北電は対策として、自動で停電させるシステムの設定を変更したほか、来年度には自動で停電させるエリアをこれまでより狭めることができる新たな装置を導入することにしています。

【早期復旧にドローン活用】
北海道電力の子会社で送配電事業を手がける北海道電力ネットワークは、胆振東部地震のあと、災害時などに送電線や配電線の被害状況をいち早く確認しようと、道内にあるおよそ50の事業所すべてにドローンを配備しています。
胆振東部地震の際に、土砂崩れのため現地に立ち入ることが難しい地域があったことを受けて、当時、北海道電力が実験目的で使っていたドローンを活用したところ配電線の状況を迅速に確認することができたとして、全道での配備を決めました。
また、ドローンの操縦者の育成を本格的に開始し、現在、社内におよそ180人の操縦者がいるということです。
全道の事業所に配備して以降、実際に災害時にドローンを使った事例はないということですが、雪が積もった山間部の設備の点検などに活用することで、業務の効率化や安全確保につながっているということです。
北海道電力ネットワーク札幌支店配電グループの冨士重之グループリーダーは「設備の被害状況を把握することは、復旧に向けてどれくらいの機材や人員が必要かを判断するうえで非常に重要だ。全道にドローンを配備することで災害がどこで起きても迅速に対応できる態勢となったので、ブラックアウト以前より災害への対応力は向上していると考えている」と話しています。

【胆振東部地震時のブラックアウト】
2018年9月6日の胆振東部地震では、道内のほぼ全域が停電するブラックアウトが発生しました。
北海道電力によりますと、地震発生のおよそ20分後に、離島を除く道内の全域のおよそ295万戸が停電しました。
地震から2日後の9月8日の正午過ぎに、立ち入りが困難な一部の地域を除く、すべての地域で復旧が完了したということです。