子どもの感染広がる 10代以下が新規感染者の3割超に

新型コロナウイルスの感染が急拡大する中、新規感染者数に占める割合は10代以下が全体の3割を超えていて、ほかの世代に比べても急速に感染が拡大しています。

道のまとめによりますと、10代以下の子どもの新規感染者数は先月中旬ごろから急速に増え始めました。
▽先月12日に1000人を超えると、▽およそ2週間後の25日には2150人と、2000人を超える日も出始めます。
子どもの感染者数は今月に入ってからも増加を続け、9日は3000人を超えました。
新規感染者数に占める割合は10代以下だけで全体の3割を超えていて、ほかの世代に比べても急速に感染が拡大しています。
子どもの感染者の急増に伴って、学級閉鎖や学年閉鎖、学校閉鎖の対応をとる学校も増えています。
道教育委員会によりますと、道内の小中学校と高校、それに特別支援学校と幼稚園、あわせて2268校のうち、学級閉鎖などの対応をとったのは先月2日までの1週間では合わせて82校でした。
しかし、先月9日までの1週間では合わせて118校、先月16日までの1週間では合わせて114校、先月23日までの1週間では合わせて204校と、先月初めの2倍以上に急増しました。
そして、先月30日までの1週間では合わせて309校、今月6日までの1週間では合わせて322校と、先月初めの4倍にのぼっています。

【小児科の現場では】
札幌市中央区の「円山ため小児科」では、先月中旬から患者が徐々に増え始め、今月に入ってからは一段と多くなっているということです。
検査数も、感染が急速に拡大する前の9月までに比べると2倍から3倍程度に急増しているといいます。
多米淳院長は「今までは親など家族から感染することが多かった印象だが、今回の感染拡大では学校や保育園、塾などで子どもどうしでうつり、それを家庭に持ってくるというケースが多くなってきているのではないか」と指摘します。
また、「子どもたちのワクチンの接種率がほかの世代に比べて低いということも原因かもしれない」としています。
そして多米院長が懸念するのは、重症の子どもの患者を受け入れる病床が不足する事態です。
多米院長によりますと、感染者の増加に伴い、休日や夜間に入院が必要な子どもを受け入れる病院が見つかりにくくなっているということです。
多米院長は「当初は、子どもは軽症がほとんどだと言われていたが、感染者数が多くなるにつれて重症例も報告されている。小児の患者が増えると、一定の割合で、脳炎や脳症など重症化する患者も増える」と指摘します。
そのうえで、「小児の場合は入院できる施設が限られるので、重症者を受け入れる小児の病院がひっ迫し、ベッドがなくなってしまうという状況が一番怖い」と話しています。
また多米院長は子どもの感染に備えて、家庭で解熱剤などの医薬品を常備したり、食料や飲み物などを用意しておくことが必要だと指摘しています。
そのうえで、いま一度、ワクチン接種を検討するよう促しています。
多米院長は「ワクチン接種の効果や副反応もそれほどではないという結果が出ている。お子さんが理解できることばで親御さんが話をし、相談して、接種する、しないを決めてほしい。もう1度、ワクチン接種について考えてみてはどうか」と話しています。
そして、これからの年末年始は人が集まる機会も多くなるとして、「もう一度基本に立ち返り、▽換気や手洗いをして体調をきちんと保つこと、▽睡眠をきちんととり食事のバランスを取ること、▽体調が悪いときは集団の中に出て行かず様子を見るといったことを実践してほしい。悪化するようであれば医療機関を受診してほしい」話しています。