水際対策も大幅緩和 外国人観光客の増加は 期待と不安

新型コロナウイルスの水際対策が11日から大幅に緩和されました。
入国者数の上限が撤廃され、個人の外国人旅行客の入国も解禁されるなど、制限はほぼコロナ禍前の状態に戻りました。
具体的には、▽1日あたり5万人としていた入国者数の上限が撤廃されるとともに、▽ツアー以外の個人の外国人旅行客もおよそ2年半ぶりに入国が解禁されました。
アメリカ、韓国、イギリスなど、68の国や地域から観光などで訪れる短期滞在者のビザを免除する措置が再開されたほか、地方の空港や港では順次、国際線などの受け入れが再開される見通しです。

【登別の水族館では】
新型コロナウイルスの水際対策が大幅に緩和されたことを受けて、登別市の水族館では、海外からの観光客の増加に期待が高まる一方、必要な人手の確保への不安の声も聞かれました。
登別市にある水族館「登別マリンパークニクス」では新型コロナの感染拡大前までは、入園者の半数以上が海外からの観光客でした。
11日から入国者数の上限が撤廃されるなど、水際対策が大幅に緩和されたことから、年末までにすでに台湾から4200人分の予約が入るなどしていて、入園者の増加に期待が高まっています。
11日は、水際対策が緩和される前に入国したシンガポールからのツアー客が訪れていて、イルカのショーやペンギンのパレードなどを楽しむ姿が見られました。
ツアー客の1人は「北海道は食事も景色も気候もすばらしいです。円安も非常に魅力的で、買い物をたくさんしてしまいそうです」と話していました。
一方で、海外からの観光客の増加を見越し、水族館ではレストランで働く従業員を2人増やすことにしていますが、観光業での求人の動きが活発になっていて、人手を確保できるのか不安もあるということです。
登別マリンパークニクスの木津均支配人は「いろいろな国の方が来ていただけることに大きな期待を寄せています。一方で、従業員の募集はかけていますが、どこの施設も人手不足ということなので確保は大変だと思います」と話していました。

【富良野のホテルでは】
新型コロナの水際対策が11日から大幅に緩和され、富良野市にあるホテルでは外国人旅行客の利用回復を期待する一方、空の便や都市間バスの減便、飲食店の営業時間短縮が続いているため、利用回復には時間がかかるのではないかと不安をにじませています。
JR富良野駅前にあるホテルでは、新型コロナの感染が拡大する前、宿泊客の8割を外国人旅行客が占めていました。
近年、富良野市内では海外の富裕層向けの別荘や高級コンドミニアムの建設が相次いでいて、このホテルでもおととし2階建てのコンドミニアムを6棟建設しました。
宿泊代金は1泊20万円で、部屋の広さは100平方メートル前後あり、キッチンが付いていて長期滞在ができるようになっています。
ホテルでは、海外の富裕層の利用を見込んでいましたが、コンドミニアムの完成と同時に新型コロナの感染が拡大し、外国人旅行客の利用は1割以下に激減しました。
水際対策の緩和について、ホテルの専務取締役の石平清美さんは「きょうはまさに私たちが待ち望んでいた日だ」と期待を示す一方で、外国人旅行客の利用回復には時間がかかるのではないかと不安も抱えています。
石平さんによりますと、来年1月の外国人旅行客の予約数は11日時点で255件と、3年前と比べて5分の1以下にとどまっているということです。
石平さんは「予想よりも外国人旅行客の予約が入っていない。海外の旅行代理店などからは『国際線や国内線、都市間バスの本数が減っていてアクセスが悪い』とか、『飲食店の営業時間が短く、以前のように楽しめないのではないか』といった声が届いている」と話しています。
そのうえで、「外国人旅行客に来てもらうには宿泊だけではなく、交通や飲食などの業界との協力が不可欠だ。今後、協力して受け入れ体制を整えていきたい」と話していました。

【札幌の観光バスは】
観光バスの運行会社の中には、水際対策が緩和されても実際にどれだけ外国人観光客が戻ってくるか不透明なため、ドライバーを新たに採用すべきか頭を悩ませている会社もあります。
札幌市東区にある観光バスの運行会社では、新型コロナウイルスの感染が拡大する前は、売り上げの8割ほどが韓国や台湾などからの外国人観光客の利用によるものでした。
その後、感染拡大の影響で売り上げは激減し、一部のバスを稼働させず車検と保険料が免除される「休車」扱いとしたり、ドライバーの人員を減らしたりしてコストを削減してきました。
今回の水際対策の緩和を受けて、海外の旅行会社から予約や問い合わせが相次いでいることもあり、会社では、「休車」させているバス2台を年内にも再稼働させられるよう準備を始めています。
一方、感染拡大前に15人いたドライバーは現在10人に減らしていて、今後、外国人観光客が本格的に回復すればたちまち人員不足に陥る見通しです。
会社によりますと、人材の確保は他社との競争にもなるため早めに動く必要があるものの、現状では実際にどれほど外国人観光客が戻ってくるか不透明なため、なかなか募集に踏み切れないということです。
「北海道ファミリー観光バス」の山口勝運行統括は「外国人観光客の回復を期待する一方、また往来が制限されるのではないかという懸念もある。ドライバーを確保できるか不安はあるが、タイミングを慎重に見極めて増員していかないといけない」と話していました。

【冬に向け国際線再開加速】
新千歳空港を発着する国際線は、新型コロナの感染拡大前のおととし1月には26の都市とを結ぶ路線が運航されていましたが、おととし3月以降、すべての便が運休となりました。
その後、水際対策の段階的な緩和やワクチン接種の進行などを受けて、ことし7月に「大韓航空」がインチョン空港とを結ぶ便を再開させたのをはじめとして、これまでに韓国と台湾の航空会社が定期便の運航を再開させました。
水際対策の緩和を受け、冬の観光シーズンを見据えてこうした動きは加速する見通しで、年内に少なくとも4つの航空会社が台北やシンガポールなどアジア各地とを結ぶ便を再開させる予定です。
このうち、11月からは▼「エバー航空」の台北とを結ぶ便と▼「スクート」のシンガポールとを結ぶ便が、12月からは▼「キャセイパシフィック航空」の香港とを結ぶ便と▼「タイ国際航空」のバンコクとを結ぶ便が運航再開になります。
さらに、▼「タイガーエア台湾」が今月16日から、▼「スターラックス航空」が今月28日から、それぞれ台北とを結ぶ便を新たに就航させます。
新千歳空港を運営する北海道エアポートによりますと、新型コロナの感染拡大以後、新千歳を発着する国際線の旅客便で新たな航空会社が乗り入れるのは初めてだということです。