10月値上げピーク “2人以上世帯年6万8000円負担増”

原材料価格の高騰や円安などで10月から暮らしに身近な食料品などが値上げされます。民間の信用調査会社によりますと、その対象は6500品目を超え、値上げのピークとなる見込みです。信用調査会社は2人以上の世帯では食品や飲料の値上げで年間の負担は平均で6万8000円あまり増えると試算しています。

民間の信用調査会社「帝国データバンク」は国内の主な食品メーカーや飲料メーカー105社を対象に調査を行い、ことし8月末時点での各社の値上げの動きをまとめました。
それによりますと、10月に値上げする予定があるとした食品や飲料は6500品目を超え、9月のおよそ2.7倍となり、値上げのピークとなる見込みです。
また、食品や飲料の値上げによる家計への負担額を総務省の家計調査などをもとに調べたところ、2人以上の世帯では1か月あたり平均で5730円、年間では平均6万8760円増えると試算しています。
このうち、「加工食品」が最も大きく1か月あたり2560円増加するとしています。
信用調査会社では原材料価格や包装資材の上昇を背景に冷凍食品の価格が引き上げられたことが要因だと分析しています。
このほか、「酒類・飲料」が1か月あたり1285円増え、350ミリリットルの缶ビール6本分相当にあたる負担額の増加としています。
また、2人以上の世帯について家計の負担増加を年収別でみると、1075万円以上の世帯では、年間の増加額は平均8万9150円と消費支出額に占める負担割合は1.7%となっています。
329万円未満の世帯では、年間の増加額は平均5万1423円と消費支出額に占める負担割合は2.3%となり、1075万円以上の世帯と比べて負担割合は0.6ポイント高くなっています。
信用調査会社は、収入の低い世帯ほど支出に占める食費の割合が高くなり、食品や飲料の値上げによる負担感は大きいと指摘しています。
「帝国データバンク」は「原材料価格の高騰や円安の進行を受けた食品の値上げラッシュで家計の負担は大きくなっている。11月以降、値上げの波はいったん収まる気配をみせているが、牛乳製品なども今後値上げされる予定で、家計の負担はさらに増える可能性がある」と話しています。

【主な企業による10月の値上げの動き】
《飲料》
▼「コカ・コーラ ボトラーズジャパン」、ペットボトルや缶入りの商品など121品目、10月1日出荷分から希望小売価格を6%から18%引き上げ、(500ミリリットルのペットボトル入り「コカ・コーラ」は税抜きで従来の140円から160円に)
▼「サントリー食品インターナショナル」、ペットボトルや缶入りの商品163品目、10月1日出荷分から希望小売価格を6%から20%引き上げ。
▼「アサヒ飲料」、ペットボトルや缶入りなどの商品163品目、10月1日出荷分から希望小売価格をおよそ4%から16%引き上げ。
(500ミリリットル入りペットボトルの「三ツ矢サイダー」は税抜きで従来の140円から160円に)
▼「伊藤園」、ペットボトルや缶入りの商品およそ150品目、10月1日出荷分から希望小売価格を4%から22%引き上げ。
▼「キリンビバレッジ」、ペットボトルや缶入りの商品127品目、10月1日納品分から希望小売価格を税抜きで6%から25%引き上げ。
▼「ポッカサッポロフード&ビバレッジ」、ペットボトルや缶入りの商品67品目、10月1日納品分から希望小売価格を4%から17%引き上げ。
《酒類》
▼「アサヒビール」、ビールや発泡酒、チューハイ、ウイスキーといったアルコール飲料など、家庭用と業務用の162品目、10月1日出荷分から、家庭用の値上げ幅は、▽ビール系飲料、店頭想定価格で6%から10%程度の見込み、▽チューハイ、希望小売価格が6%から9%程度、▽国産ウイスキー、店頭想定価格で7%から17%程度の見込み。
▼「キリンビール」、ビールや発泡酒、チューハイ、ウイスキーといったアルコール飲料など、家庭用と業務用の278品目、10月1日納品分から、家庭用は店頭想定価格で▽ビール系飲料、チューハイ、ノンアルコール飲料が6%から13%程度、▽ウイスキー、ウォッカなど輸入洋酒が、7%から17%程度、値上げ見込み。
▼「サントリー」、ビール、チューハイといったアルコール飲料など、家庭用と業務用の156品目、10月1日出荷分から、家庭用は店頭想定価格で、▽ビール系飲料、6%から10%程度、▽チューハイやハイボール、2%から6%程度、値上げ見込み。
▼「サッポロビール」、ビールや発泡酒といったアルコール飲料など、家庭用と業務用の121品目、10月1日納品分から、出荷価格で、4%から12%程度、値上げ。
▼「コカ・コーラ ボトラーズジャパン」、10月1日出荷分から、アルコール飲料など6品目、希望小売価格で4%から7%値上げ。
《コーヒーなど》
▼「味の素AGF」、粉末状のカフェラテなど38品目、10月1日納品分から店頭想定価格は、およそ16%から22%、値上げ見込み。
▼「キーコーヒー」、家庭用のレギュラーコーヒーなど、およそ60品目、10月1日出荷分から、店頭想定価格は5%から20%程度、値上げ見込み。
《ハム・ソーセージ》
▼「日本ハム」、家庭用と業務用のハムやソーセージなど371品目、10月1日出荷分から内容量を減らす実質値上げや値上げ、改定率で平均およそ9%。
▼「伊藤ハム」、家庭用と業務用のハムやソーセージなど221品目、10月1日出荷分から実質値上げや、値上げ、改定率で3%から30%。
▼「米久」、家庭用と業務用のハムやソーセージなど70品目、10月1日出荷分から実質値上げや、値上げ、改定率で3%から30%。
▼「丸大食品」、家庭用と業務用のハムやソーセージなど350品目、10月1日納品分から実質値上げや、値上げ、このうち値上げ幅は5%から30%。
《調味料》
▼「味の素」、家庭用と業務用のマヨネーズや家庭用の塩調味料、だし、コンソメ製品のあわせて75品目、10月1日納品分から、出荷価格でおよそ2%から15%値上げ、マヨネーズなどの値上げは去年7月以降、3回目。
▼「キユーピー」、家庭用のマヨネーズやマスタード、タルタルソースなど93品目、10月1日出荷分から、参考小売価格で、およそ2%から20%値上げ、マヨネーズなどの値上げは去年7月以降、3回目。
450グラム入りの「キユーピー マヨネーズ」は税込みで436円から475円に。
▼「キッコーマン食品」、みりんや料理酒、焼き肉用などのたれ類、75品目、10月1日納品分から、希望小売価格で、▽みりんや料理酒およそ4%から11%、▽たれ類およそ5%から10%、引き上げ。
《乳製品》
▼「森永乳業」、家庭用チーズや育児用の食品など39品目、10月1日出荷分から、値上げや実質値上げ、このうち値上げする商品は、希望小売価格でおよそ4%から12%引き上げ。
▼「明治」、家庭用チーズ23品目、10月1日出荷分から、値上げや実質値上げ、このうち、値上げする商品は、希望小売価格でおよそ5%から15%引き上げ。
▼「雪印メグミルク」、育児用粉ミルク4品目、10月1日納品分から、希望小売価格でおよそ5%引き上げ。
▼「雪印ビーンスターク」、育児用粉ミルク7品目、10月1日納品分から、希望小売価格をおよそ4%から7%引き上げ。
《菓子》
▼「明治」、スナック菓子などの菓子類、6品目、10月1日出荷分から出荷価格でおよそ6%から9%引き上げ。
▼「湖池屋」、ポテトチップス3品目10月3日出荷分から、実質値上げと値上げ、改定率は4%から9%程度。
▼「カンロ」、あめやグミなどおよそ30品目、10月1日出荷分から順次、希望小売価格で3%から10%程度引き上げ。
▼「アサヒグループ食品」、タブレット菓子など198品目、10月1日出荷分から希望小売価格でおよそ3%から13%引き上げ。
《外食》
▼「スシロー」、10月1日から1皿あたり最低価格を税込み110円から120円に引き上げ。
「税抜き1皿100円」からの値上げは、1984年の創業以来初めて。
▼「くら寿司」、10月1日から1皿あたり最低価格を、税込み110円から115円に引き上げ。
▼「すかいらーくホールディングス」、10月6日以降順次、「ガスト」や「バーミヤン」など5ブランド、およそ4割のメニューで、平均およそ5%値上げ、7月に続き、ことし2度目の値上げ。
▼「吉野家」、10月1日から一部の商品を除き本体価格で平均18点8円値上げ、店内飲食の「牛丼並盛」は税込みで426円から448円に。
▼「はなまるうどん」、10月1日からうどんとカレーの22商品、10円から100円値上げ。
「かけ(小)」が税込み240円から270円に。
《その他》
▼「コンビ」、ベビーカーやチャイルドシートなど45品目、10月1日受注分から、希望小売価格を3%から14%値上げ。
▼「パナソニック」、ブルーレイレコーダーや掃除機、生ゴミ処理機など121品目と、乾電池について、10月1日から順次、出荷価格をおよそ2%から45%値上げ。
また、たばこ税引き上げに伴い、加熱式たばこで値上げの動き。
▼「JT=日本たばこ産業」、加熱式たばこ17銘柄、10月1日から1箱あたり10円から20円の値上げ。
▼「フィリップ モリス ジャパン」、加熱式たばこ23銘柄、10月1日から1箱あたり20円の値上げ。
《11月以降は・・・》
ことし11月以降も、牛乳やヨーグルト、菓子、ベビーフードなど、大手メーカーの間で生活に身近な商品の値上げが予定されています。

【街の声】
相次ぐ値上げについて、札幌市内で聞きました。
幼い子ども4人を育てる30代の男性は、「食費がかなりかかるため大変です。水道代やガス代を節約をするためにみんなで一緒にお風呂に入ったり、ベビーカーはリサイクルショップで買ったりしています」と話していました。
2歳の娘を育てる30代の女性は「食費がいちばん大変です。なるべく安いものを買いたいと思っていますが、これまで安かったものも高くなってきている実感があります。でも、しょうがないのかなと思う気持ちもあります」と話していました。
1人暮らしの20代の会社員の男性は、「生活必需品の値上げはかなりいたいです。値上がりの繰り返しで値下げのビジョンが見えないです。ファストフードもあまり買わず、自炊をしています。物価が上がっているので企業の給与水準を見直してもらいたい」と話していました。
年金で生活しているという夫婦は、「さっそくビールを買いだめしました。電気代、ガス代を節約するため細かなところを効率よく使うようにしていますが、自己防衛するにも手立てがないような状況で、これ以上どう節約すればいいかと思いあぐねています」と話していました。

【酒販売店では】
札幌市内にある酒の販売店では、値上げを前に駆け込みで酒を購入しようという客が次々と訪れています。
札幌市豊平区にある酒の販売店では、ビールや日本酒、それに焼酎のほか、菓子類などさまざまな種類の商品を扱っていて、全体のおよそ8割にあたる商品は、10月1日から5%から10%ほど仕入れ価格が引き上げられるということです。
この店では、値上げを前に駆け込みで酒を購入しようという客が次々と訪れていて、なかにはビールなどの箱をカートいっぱいに積み上げて、まとめ買いする人の姿も見られました。
発泡酒を買いに来たという客は「どうせ来月買うのあればきょうの方がいいと思い買いに来ました。いずれは高い価格で買わないといけないが、小さな抵抗です。これで11月中旬ごろまではもつのではないかと思います」と話していました。
また、札幌市内で飲食店を経営しているという人は「お店で出すもので、足りないものを急ぎで買いました。私の飲食店では、来月からも値上げをせずに営業する予定なので、仕入れ価格の上昇は厳しいです。結局値段が上がってからも仕入れは行わなければならず、少しでも安いところを探していくしかないですね」と話していました。
この酒の販売店では、値上げ前に仕入れる量を増やすなどの対応をとったということで、値上げ前に仕入れた在庫は価格を据え置いて販売するとしています。
酒の販売店の「ビックリッキー」の三木孝也エリアマネージャーは「1週間くらい前からまとめ買いを意識したお客さんの来店が続いている」と話していました。

【銭湯料金も】
道内の銭湯は10月1日から12歳以上の大人の入浴料金が450円から480円に30円値上がりします。
原油価格の高騰などの影響で経営が厳しさを増しているのを受けた対応です。
釧路市にある「大喜湯昭和店」では入り口に料金の変更を知らせる紙が掲示されていました。
この銭湯では源泉を温めるために重油でボイラーを動かしていますが、重油の価格が値上がりしていて燃料費は去年の同じ時期に比べて1.5倍に増えているということです。
家族で訪れていた釧路市の16歳の女性は「いつも利用するので値上げは厳しい。来る頻度は減ってしまうと思います」と話していました。
愛知県から旅行に訪れた男性は「燃料費の高騰もあって仕方ないと思う」と話していました。
この銭湯では10回分の値段で11回分利用できる回数券を販売していますが、値上げ前の駆け込み需要で複数枚、買い込む人もいるということです。
銭湯の支配人、工藤貴大さんは「燃料費の高騰で厳しい状況だったので値上げは経営的にはありがたいが、その値上げに見合うサービスを提供していきたい」と話していました。

【家計を守る方策は】
相次ぐ値上げから家計を守るため、私たちはどう対処すればよいのか。ファイナンシャルプランナーの加藤桂子さんに話を聞きました。
加藤さんは、いわゆる「固定費」を見直して家計の負担を軽減させることが、1つのポイントだと指摘しています。
具体的には、▼生命保険や損害保険の保険料や▼携帯の基本料金、それに▼動画や音楽の配信サービスといったサブスクリプションなどを見直すことが考えられるとしています。
また、▼道内では車を複数台持つ家庭も多く、駐車場代や保険料がかさむため、台数を減らすことも検討する余地があるとしています。
一方、「固定費」の見直しのほかには、家庭の電球をLEDに変えることで、初期投資は必要なものの毎月の電気代を抑えることにつながるとしています。
加藤さんは「固定費の見直しはすぐに効果が出ますし、その効果がずっと続きます。節約と言うと、皆さんはまず食費を削ろうとしがちですが、食費を削るのは最後で、その他のところで見直した方がいいと思います。今まで支出に関してあまり意識していなかった人も、一度、夫婦や家族で話し合うといいと思います」と話していました。