突然吹き上がった長万部町の水柱 勢い衰えず住民生活に影響も
道南の長万部町にある神社の敷地内の林で水柱が吹き上がってから11日がたちました。水の勢いは衰える様子がなく、騒音や、砂のようなものを含んだ水しぶきなどによる生活への影響が出ています。
水柱が上がっているのは長万部町の飯生神社の敷地にある林で、今月8日の夕方ごろ突然吹き上がりました。
水は周りの木々よりも高い30メートルほどの高さまでごう音とともに絶えず吹き上がっていて、近くに住む人からは騒音で眠れないという声が出ているほか、砂のようなものが混じった水が風に乗って流れてくるなど影響が出ています。
近くに住む70代の男性は「車が汚れたり、洗濯物が外に干せなかったり正直迷惑していて、もう止まってほしいです」と話していました。
このほか、水柱を見ようとする人が連日車で訪れ住宅街に路上駐車をする人が増えていて、道路の見通しが悪くなっています。
町は町内の▼ファミリースポーツセンター、▼福祉センター、▼学習文化センターの3か所にあわせて100台ほどの駐車場を用意し、路上駐車をしないよう呼びかけていますが、19日も数十台が現場付近の道路に車を止めていて対応に苦慮しているということです。
近くに住む80代の男性は「ふだんは交通量が多くない場所ですが、路上駐車をして写真を撮っている人が多く道幅が狭くなっていて危ない状態です」と話していました。
吹き上がっている水について長万部町は、今月15日に採取し、水質調査会社に成分の調査を依頼したということで、10日ほどで結果が出る見込みだということです。
【専門家“火気に注意”】
長万部町の水柱について北海道立総合研究機構エネルギー・環境・地質研究所の高橋徹哉専門研究主幹は「噴出しているのは主に可燃性の天然ガスで、それに地層水とか地下水が噴出して水しぶきとなっていると理解している」と話しています。
その上で、「火がつくと引火してしまうのでたばこやライターなど火の取り扱いに注意してほしい」と指摘しています。
水が吹き上がった要因については、「長万部町の地下には昔から天然ガスあると知られていて、過去に民間業者がガスを利用しようと11本の井戸を掘っている。その井戸は埋め戻されたが、天然ガスがある地下には圧力がかかっている状態でそれが何らかの原因で限界に達して60年ぶりにガスが一気に吹き出したと考えられる」と話していました。
一方、水柱が止まる見通しについてはわからないということで、「吹き上げている水柱の高さが少し低くなれば先が見通せるかもしれないが、まだ水柱の高さは変わってないように見えるのでいまは噴出状況を見守るしかない状態だ」と話しています。