住宅地にクマ出没の情報相次ぐ 被害減らすには

住宅地にクマ出没の情報相次ぐ 被害減らすには

道内では住宅地などに出没するクマの情報が相次ぎ、人が襲われる事故も起きています。どうすれば被害を減らすことができるのでしょうか。

【道内の被害状況】
道内では、人がクマに襲われる事故が相次いでいます。
昨年度の死傷者の数は、4人の死亡を含む14人にのぼり、統計が残っている昭和37年度以降で最も多くなりました。
このうち去年6月には札幌市東区の住宅地にクマが出没し、4人が重軽傷を負っています。
また、今年度は、いずれも先月、▽道南の松前町の畑で作業をしていた夫婦2人が大けがをしたほか、▽オホーツク海側の滝上町でハンターの男性がクマに襲われてけがをしました。
道は、クマが人里に近づかないようにする対策として▼ゴミ出しのルールを守ること、▼ゴミやペットフード、干物や漬物などの保存食を野外に放置しないこと、▼家庭菜園の作物や果実は早めに収穫し、畑に放置しないことなどを呼びかけています。

【クマ防ぐ草刈り】
住宅地にクマが出没するのを防ごうと住民たちが活動している地域もあります。
札幌市南区の石山地区では、9年前、この地域を流れる豊平川の川沿いの雑木林を歩いていたヒグマがそのまま住宅地に入り込んだことがありました。
この出来事を教訓に、この地域では豊平川の河川敷の草木を刈り取って見通しをよくすることで、クマの侵入を防ごうという取り組みが毎年行われています。
4日は、この地域の住民や大学生などおよそ50人が参加し、グループに分かれて、人の背丈ほどに生い茂った草木を電動草刈機や、専用のはさみなどを使って刈り取っていました。
市によりますと、草木を刈り取った場所ではこの9年間クマの目撃情報は無いということです。
毎年参加しているという寺田政男さんは「草刈りをすることで石山地区にはクマが出てこないと思っている。毎年やることで地域の皆さんも『やらなきゃ』という気持ちがわく。これからも続けていきたい」と話していました。

【専門家は】
札幌市には、住宅地などに出没するクマの情報が相次いで寄せられています。
今年度に入って先月末までに、札幌市内では74件のクマに関する情報が寄せられています。
このうち先月6日には、札幌市南区豊滝の住宅地でクマの親子が歩く様子が撮影されました。
ヒグマの生態に詳しい酪農学園大学の佐藤喜和教授は、クマが住宅地に出没する要因として、「川沿いの緑地や水路など、緑の連続性が、クマの住む森とまちの中心部までつながっているという景観的な構造が関係しているとみている。ここ10年以内の間に札幌市の近郊の森には、いつでもクマがいるような状況ができている」と指摘しています。
また、この時期のクマを取り巻く状況について「ちょうどこの時期は春から夏にかけて食べている草が固くなり、秋に熟す木の実はまだ早いということで、非常にエサが少ない時期だ」と述べ、エサを求めるクマが人里におりてくる可能性を指摘しています。
その上で、クマと人との事故を減らす対策について、「クマが街なかに入ってしまうと駆除以外の対策がなかなかできないため、クマが身を隠しながら移動するルートになるような草や木を刈り払っておく対策は効果が期待できる。場合によっては電気柵を設置するなど、地域の特徴に応じてクマが侵入しにくい対策をしていくことが重要だ」としています。