直腸がん手術の縫合不全減らす方法 札医大など臨床試験で確認

多くの日本人が患う直腸がんを手術したあと、課題となるのが「縫合不全」という腸と腸を縫い合わせた場所が開いてしまう合併症です。命に関わることもある「縫合不全」をあるカメラを使いながら手術を行うことで大きく減らせると、札幌医科大学と横浜市立大学の研究グループが明らかにしました。世界で初めての研究成果で、治療効果の向上につながると注目されています。

札幌医科大学と横浜市立大学の研究グループは、直腸がんの手術のあと、およそ13%の患者に起きる「縫合不全」という合併症を防ぐ方法はないか、研究を重ねてきました。
縫合不全は、手術で縫い合わせた腸と腸のつなぎ目が血流の不足などでうまく治らずに開いてしまう合併症で、命に関わるケースがあるほか、人工肛門が必要になったり、がんが再発する可能性が高まったりするとされ、いかに減らすかが課題となっています。
こうしたなか、研究グループは、国内40あまりの病院の850人の患者を対象に大規模な臨床試験を行い、▼半数に近赤外線カメラという特殊なカメラと「ICG」という薬剤を使って、腸などの血液の流れを目で見えるようにして手術を行った上で、▼このカメラと薬剤を使わない手術をした残り半数の患者と比較して、縫合不全がどの程度減るのかを調べました。
その結果、▼縫合不全になる患者は11.8%から7.6%に減り、割合にして35%減らすことができたほか、▼縫合不全になった患者でも、治療が必要なケースは8.2%から4.7%に減り、さらに▼再手術が必要なケースも2.4%から0.5%に減ったとしています。
研究グループによりますと、ICGは肝機能の検査にも使われている薬剤で、近赤外線カメラとICGを使った手術が縫合不全を大きく減らせることを大規模な臨床試験で確認したのは、世界で初めてだということです。
札幌医科大学の竹政伊知朗教授は「縫合不全を減らせることを証明できたが、まだ苦しんでいる患者がいる。限りなくゼロにできるよう取り組みを続けたい」と話しています。
また、横浜市立大学附属市民総合医療センターの渡邉純准教授は「大規模な試験で有効性を証明できた。今後、この手法が普及して1人でも多くの患者さんの縫合不全が減ることにつながるのを期待している」と話しています。