記録的な円安背景に 海外の投資家が札幌の不動産に注目

記録的な円安を背景に、札幌市では、海外の投資家からマンションや一戸建てを購入したいという問い合わせが増えています。道内の不動産会社が合同で投資セミナーを開くなど、海外からのマネーを北海道に呼び込もうという動きも活発になっています。

札幌の不動産会社「タフト」によりますと、ことし4月ごろから、札幌市にあるマンションや一戸建てを購入したいという海外の投資家からの問い合わせが増えているということです。
問い合わせの件数は、4月以前と比べると2倍から3倍ほどに増えていて、▼新型コロナウイルスの感染拡大で制限されていた海外から日本への渡航が緩和されたことに加え、▼記録的な円安を背景に、欧米や東南アジアの富裕層が高い利回りを求めて札幌での不動産投資に可能性を感じているということです。
こうしたなか、海外マネーを呼び込もうという動きも出ていて、先月25日には、札幌市やニセコ町で事業を展開する不動産業者4社が合同で、海外の投資家などを対象にしたセミナーがオンラインで開かれました。
セミナーには、アメリカやシンガポール、それに台湾などから60人あまりが参加し、説明はすべて英語で行われ、北海道の不動産の利回りの高さや日本の不動産を購入する際の手続きなどが説明されました。
不動産会社タフトの吉田正人さんは「札幌市でセカンドハウスや投資用に住宅を複数購入したいという問い合わせが増えている。コロナ禍前に観光で訪れて北海道を好きになった投資家が多く、ステータスを重視するリゾート地の不動産とは別に投資のリターンを見込める札幌市の物件を重視する傾向がある」と話しています。

【米の投資家も札幌に購入】
アメリカ・サンフランシスコでオンラインマーケティングのコンサルティング会社を営むガイ・ヒルさんは、不動産会社「タフト」で札幌市内の中古の一戸建てを購入しました。
この一戸建ては、ガイさんの日本での自宅として購入したということで、さらにいまは投資用にもう一軒、物件を購入しようと検討しているということです。
ガイさんは、記録的な円安で日本の物件が購入しやすくなっていると指摘していて、なかでも札幌は住みやすさだけでなく、都市としての可能性を感じさせることが大きな魅力だとしています。
ガイさんは、「札幌にはサンフランシスコやシアトルのように都市としての成長の可能性を感じる。外国人が多く住むニセコとは異なり、日本のコミュニティーで暮らせるのも魅力だ。アメリカでの仕事はリモートで可能なので、札幌での暮らしを楽しみたい」と話していました。

【札幌ではオフィスにも注目】
札幌市では、オフィス用の不動産にも、海外の投資家から依頼を受けた外資系のファンドからの問い合わせが増えていて、日本の市場の調査を行っているアメリカの不動産サービス会社は、賃料が下落しにくく、安定したリターンが見込めるからだと分析しています。
世界各国で事業用の不動産事業を展開しているアメリカの不動産サービス会社「CBRE」は、札幌市にも支店があり、市場の調査を行っています。
それによりますと、札幌市では、オフィス用の不動産にも欧米や香港の機関投資家から依頼を受けた外資系の投資ファンドからの問い合わせが増えていて、こうしたファンドを通じてすでに購入された物件もあるということです。
背景には、札幌に企業の進出が相次いでいることがあり、▼本社が移転されたり、大規模なコールセンターが開設されたりする一方、▼新たなオフィススペースの供給が少ないということです。
この会社では、札幌でオフィスを貸し出した場合、2年間の賃料の下落率は全国の大都市の中で最も低い1%以下と予想していて、投資家が期待する利回りも日本で最も高く、さらに円安も投資を後押ししているとみられるということです。
「CBRE」の豊永航ディレクターは「海外の投資家も調査をしていて、札幌のオフィスが日本のほかの大都市に比べて空室率が抜きん出て低く、賃料が下がりにくい安定したマーケットだと気づき投資対象の物件を物色している。このため、海外から東京に来た投資家が、札幌にも観光とあわせて投資物件を探しに行きたいという声をよく聞く」と話しています。
その上で、札幌では、新たなオフィスの大型供給が2029年ごろまで続くことを挙げ、これに見合う需要があるかどうかは、東京にある企業が札幌に本社機能を持とうとするなど、働き方の変化にもよるのではないかと指摘しています。