居酒屋も建築資材も・・値上げに悲鳴 賃上げ図る企業も

エネルギー価格や食品、資材などで深刻さを増す値上げ。
函館市では居酒屋の経営や住宅の販売価格にも影響を及ぼしている一方で従業員の生活を支えようと支援金を支給する企業も出ています。

【イカもビールも仕入れ値アップ 悲鳴上げる居酒屋】
食品やエネルギー価格の高騰で函館市の居酒屋では提供する料理などの仕入れ値が上昇していますが、店では客離れを防ぐため価格に上乗せせず、利益を削って営業を続けています。
函館市杉並町にある居酒屋では去年春ごろから原材料の仕入れ値が上昇し始め、特に揚げ物に使用する油は18リットル入りの一斗缶の価格が6000円台と去年の同じ時期に比べておよそ倍の価格に値上がりしているということです。
このほかオーストラリア産の牛タンは仕入れ値が10パーセントほど上昇しているほか、サーモンやイカ、タコなどの国産の水産物も平均して10パーセントほど値上がりしているということです。
さらにことし10月からはビール大手各社が業務用のビールについて価格の引き上げを決めています。
こうした中、この店では客離れを防ぐために当面、仕入れ値の上昇分を価格に上乗せせず利益を削って営業を続けていきたいとしています。
「酒肴菜友じょっぱり」の森田吉郎店長は「物の値段が徐々に上がってきていて値段を変えずにお客に提供するのが苦しくなってきていますが、簡単に値上げする訳にはいかないので、今は耐えています」と話していました。

【夢のマイホームも・・木材単価3倍に】
木材の輸入価格が高騰していることから函館市では住宅メーカーが戸建て住宅の販売価格を値上げするなど影響が及んでいます。
函館市で住宅用の建材を扱う会社は主にカナダから木材を輸入していますが、ロシアへの経済制裁などで世界的に木材の需要が高まり輸入価格が高騰し品薄の状況が続いているということです。
会社によりますとおととしの同じ時期と比べて住宅の構造材に使用する木材は1本あたりの単価がおよそ3倍に値上がりしているほか、床や壁の合板に使用する木材は1割から2割程度上昇しているということです。
このため会社のグループ企業の住宅メーカーでは需要が多い2000万円台から3000万円台の戸建て住宅の販売価格が去年の同じ時期と比べて100万円から300万円程度高くなっているということです。
会社では木材の安定供給を図るためこれまで取り引きのなかった業者にも納品を依頼していますが需要の2割程度しか在庫が確保できていない状況だということです。
「小倉木材店」の夏井圭総務部長は「1か月で価格が変動するような見たことがない早さで価格が上がっています。このまま価格が上がると経営への影響も大きくなる」と話していました。

【従業員の生活守れ 支援金支給の企業も】
物価や原油の高騰が市民生活に影響を及ぼす中、函館市の建設会社は社員の生活を支えようと給与とは別に「支援金」の支給を始めています。
函館市田家町の建設会社ではことし4月、会社の決算時期に合わせて給与とは別に「原油及び物価急騰支援金」という名目で50人余りのすべての社員に一律5万円を支給したということです。
さらに物価高や原油高が今後も続く可能性があるとして、ことしのボーナスの際にも支援金を新たに支給することも検討しているということです。
この建設会社は主に道内で公共工事を受注していますが資材が高騰する中、公共工事では上昇したコストを発注者側が負担する制度があるため、経営への打撃は避けられているということです。
「齊藤建設」の齊藤大介社長は「物価高騰というより急騰したという印象だったので、会社として支援したいという強い気持ちがあった。社員と会社は共存しなければダメだと思うので会社ができる範囲で支援を続けていきたい」と話していました。

【建設業界で賃上げか 公共事業入札で優遇措置】
物価や原油の高騰が続く中、建設業界では賃金を引き上げる動きも出ています。
背景には国が発注する公共工事などの特定の入札について、政府が今年度から参加する企業の賃金の引き上げを促そうと、賃上げをした企業を優遇する措置を始めたことがあります。
この措置では新たに企業による賃金の引き上げの項目を加え、前の年と比べて大企業で3%以上、中小企業で1.5%以上、賃上げを行うと表明した場合、その企業の評価の点数が加点されることになりました。
これを受けて函館市内で公共工事を請け負っている複数の建設会社はNHKの取材に対し賃上げをすでに実施したり今後行うことを表明したことを明らかにしていて建設業界で賃金を引き上げる動きが出始めています。