来年度〜令和7年度の公立高校配置計画 道教委が案を公表

北海道教育委員会は、来年度から令和7年度までの公立高校の配置計画について、新たな案を公表しました。令和7年度にむかわ町の穂別高校で生徒の募集を停止する案や、北見市の留辺蘂高校を計画どおり閉校する方針などが示されています。

道教委は、高校進学の希望者数に応じた公立高校の定員を確保する目的で、毎年、配置計画をまとめていて、7日、来年度から令和7年度までの新たな案を公表しました。
この中で、▼むかわ町にある穂別高校について、入学者数が2年連続で10人未満で、道教委が定めた存続の基準に達していないとして、令和7年度から生徒の募集を停止する案を示しました。
また、▼北見市の留辺蘂高校については、定員に対する欠員の数や地元からの進学率などを総合的に考慮した結果、計画どおり、来年度に生徒の募集を停止し、令和7年3月で閉校する方針だとしています。
このほか、今後、中学を卒業する生徒の数などを勘案した結果だとして、令和7年度に、▼岩見沢東高校と岩見沢西高校の募集を停止して2つの高校を統合し、岩見沢西高校校舎に新たな高校を設置する案と、▼富良野高校と富良野緑峰高校の募集を停止して統合し、富良野緑峰高校校舎に新設の高校を設ける案を示しています。
道教委では、公表した配置計画の案について地元などから意見を聞いた上で、ことし9月に最終的な配置計画をまとめることにしています。

【配置計画の指針と理由】
7日公表された生徒の募集停止などの案について、道教委は、地域の実情を考慮しながら中学校の卒業者数などをもとに総合的に勘案したものだとしています。
道教委は、高校の再編や統合を判断する上での指針をまとめていて、▼1学年3学級の規模の学校では、近隣に他の高校があれば統合を検討するとしているほか、▼1学年2学級以下の規模の学校では、地域の事情などを総合的に勘案したうえで、統合や生徒の募集の停止を検討するとしています。
ただ、▼1学年1学級の学校であっても近隣の高校への通学が困難で、地元からの進学率も高い高校については、「地域連携特例校」として存続させるケースもあります。
しかし、「地域連携特例校」でも、▼1年生の在籍者数が20人未満で、さらに生徒数の増加が見込まれない場合には、再編を検討するとしています。
このうち、むかわ町の穂別高校は「地域連携特例校」で、自治体も存続のために支援してきましたが、▼1年生の生徒数が2年連続で10人未満となったため、生徒の募集の停止を案として挙げることになったとしています。
また、北見市の留辺蘂高校については、▼1学年1学級で、▼新入生の数が今年度は20人に達したものの、去年までの4年間は年に20人未満だったことなどから、来年度で生徒の募集を停止して令和7年3月をもって閉校する方針を、案として維持したとしています。

【留辺蘂高校を巡っては】
北見市留辺蘂町にある留辺蘂高校は、おととし、道教育委員会が令和5年度以降、生徒の募集を停止し、令和7年3月に閉校する案を示してから、地元と一丸となって閉校を食い止めようと取り組みを進めてきました。
このうち部活では、去年、「eスポーツ部」「トランポリン部」と特色ある部活を創設し、いずれも全国大会に出場する実績を残しました。
学習面では、生徒数が少ないことを逆手にとり、大学進学を希望する生徒に個別で講習を行うなど生徒のニーズに対応した取り組みを行ってきました。
また、地元の留辺蘂町も、▼高校と共同で魅力ある学校作りを進める一方、▼高齢化や人口減少が進む中、町の振興のためにも高校が必要だと訴え、存続に向けた陳情を行ってきました。
こうした高校と地元の一体的な取り組みもあってこの春の新入生は20人と、5年ぶりに20人台となり増加の兆しが見えていましたが、留辺蘂高校を閉校とする道教委の方針は変わりませんでした。
高校の存続を訴えてきた留辺蘂高校PTAの山久仁会長は、道教委が示した閉校の方針について、「残念だ。少し前にも道教委に陳情に行ってきたが、なかなか動かすところまでは難しいと感じている」と述べました。
その上で、これまでの取り組みについて、「小規模な高校だからこそできる生徒1人1人への丁寧な指導や少人数でもできる部活で結果を出してきた。地道な積み重ねで生徒に集まってもらえるようになり、まいた種がやっと芽吹いたところなのにそこで芽を摘まれるのが厳しいと思っている。9月までにできることは何でもやっていきたい」と述べ、最終的な配置計画がまとまることし9月に向けて存続を求めていく考えを示しました。
また、留辺蘂高校の地元の北見市の辻直孝市長は、「地域が一体となって入学者確保などに向けた取り組みを進めた結果、入学者数が去年のおよそ2倍となっただけに結果については大変残念だ。計画が正式決定する9月までは引き続き、機械的な間口削減で生徒の進路選択の幅が狭められないよう慎重な判断と対応を道教委に求めていく」とコメントしています。

【穂別高校の関係者は】
胆振のむかわ町にある穂別高校は、昭和26年に当時の穂別村で「村づくりの第一は教育から」という理念のもと、村立高校として創立しました。
昭和38年から道立高校になり、学校の近くには町立の寮「穂星寮」を設置して道内各地から生徒を受け入れ、最も多い昭和51年には全校であわせて403人が学校生活を送っていました。
しかし、少子化に加えて、同じ町内にある鵡川高校や町外の高校に進学する生徒が多くなり、穂別高校の生徒は現在、1年生8人、2年生7人、3年生9人と、一学年で10人未満にとどまっています。
北海道教育委員会が令和7年度に生徒の募集を停止する案を示したことについて、穂別高校の岩瀬均校長は「残された期間は手を抜かないことを、けさ教職員と誓いました。今いる子どもたちに寂しい思いをさせず、2回の入試には全力で取り組んで、本校を必要とする生徒をしっかり入学させてあげようと思います」と話していました。
北海道教育委員会が令和7年度に穂別高校の生徒の募集を停止する案を示したことについて、地元のむかわ町穂別地区では落胆する声が上がっています。
穂別高校に通っていたという83歳の男性は「生徒が年々減っていることは分かっていたが、子どものときからある学校がなくなるのはとても寂しいです」と話していました。
また76歳の女性は「高校生たちは地域の清掃を行ったり、夏休みには出し物を披露したりしていて、元気をもらっていただけにとてもショックです」と話していました。
むかわ町の竹中喜之町長は「胆振東部地震からの復興を進める町としても極めて残念なことと受け止めている。穂別高校は歴史があり、地域に必要とされる町の元気の源にもなっている高校だ。引き続き支援活動も含めて対策を講じていきたい」と話していました。

【高校配置計画について識者の話】
過疎地域での教育問題に詳しい北海道大学大学院の篠原岳司准教授は、高校が閉校になる影響について、「家計から支出してほかの地域の高校への進学希望をかなえるか、自宅にいながら通信制高校の卒業を目指すか、高校がある都市部などに家族ごと転居するかということが起きうるが、中でも家族ごと引っ越すのはまち作りや町の将来にとって損失につながる」と指摘しています。
その上で、小規模の高校が存続していくための取り組みとして、「中学生や保護者の思いをしっかり受け止めて対話を重ねることが欠かせない。地域との結びつきが強い小規模校の特性を強みに変えて大胆なカリキュラム編成に取り組むことも必要だ」としています。
また、今後の選択肢のひとつとして、「道立から市町村立に移管させる手続きは、財政投資も含めて地元での決断が必要だが、高校の存続に向けて主導権を道から地元の自治体に移す方法がありうる」としています。
その上で、「道教委は配置計画だけではなくしっかりと小規模高校の条件整備を支えていくように人やモノやお金といった資源を投じることにより積極的になってほしい」としています。