沈没した観光船の運航会社 アマチュア無線を業務で使用の疑い

知床半島沖で観光船が沈没した事故で、北海道総合通信局は12日、運航会社から聞き取りを行い、法律で禁止されているアマチュア無線を使った業務連絡が行われていた疑いがあるとして、今後、運用状況などを詳しく調べることにしています。

北海道総合通信局の職員は、沈没した観光船「KAZU 1」(19トン)の運航会社「知床遊覧船」から聞き取りを行うため、12日午後3時に斜里町ウトロにある事務所を訪れました。
運航会社は去年、安全管理規程に定めている業務用無線ではなく、アマチュア無線で船と連絡を取っていたとして、国から行政指導を受けました。
アマチュア無線は緊急時に非常通信は行えますが、業務での使用は禁止されていて、運航会社が行政指導を受けたあともアマチュア無線の運用を続けていた可能性もあることから、北海道総合通信局は実態について聞き取りました。
その結果、従業員の話から、航行中の船が決められた地点を通過したことを連絡する際、アマチュア無線が使われていた疑いがあることがわかったということです。
また、安全管理規程に連絡方法として記されている業務用無線設備は確認できなかったということです。
北海道総合通信局は今後、無線の設置や運用状況などについて詳しく調べることにしています。
聞き取りを行った北海道総合通信局無線通信部の山田誠哉部長は、「今後の調査で違法な事実が確認できた場合、適正な措置を行っていきたい」と話しています。

【同業1社 免許期限切れ】
北海道総合通信局は、「知床遊覧船」以外に斜里町ウトロで観光船を運航している同業の観光船の運航会社からも聞き取りを行っていて、このうち1社でアマチュア無線局の免許の有効期限が切れたまま無線が使われていた疑いがあるということです。
この運航会社は、事故の当日、沈没した観光船から救助を求める無線連絡を受け海上保安庁に通報していたということです。

【知事が羅臼町の漁協などに謝意】
知床半島にある斜里町の沖合で起きた観光船の事故では、半島の反対側に位置する羅臼町からも、多い日で、漁船19隻と観光船5隻が行方不明者の捜索に協力しました。
鈴木知事は12日午後、羅臼町の漁協を訪れ、「知床での沈没事故の捜索や救助活動にご理解いただいたことを心から感謝します」と述べました。
これに対し、漁協の担当者は、「羅臼では160隻の船が漁をしている。捜索には引き続き協力したい」と応えました。
鈴木知事はこのあと観光船の運航会社でつくる協議会を訪れ、感謝を伝えました。
訪問の後、鈴木知事は、「事故の原因究明や再発防止、地域観光への影響について意見をいただいた。再発防止については国の委員会でも議論されているが、中小の企業が多い中で、地域が対応できる内容にしていけるよう道としても皆さんと一緒に提案していきたい」と話していました。

【発生20日目 捜索続く】
知床半島沖で観光船が沈没した事故。現場海域の周辺では先月28日に羅臼町の沖合で乗客3人が見つかったのを最後に、この2週間、行方不明者は発見されていません。
事故の発生から20日目となる12日も、第1管区海上保安本部や自衛隊などが捜索にあたっていますが、午後2時現在、新たな手がかりは見つかっておらず、引き続き行方不明者の発見を急ぐことにしています。
一方、沈没現場では午後1時半ごろまで民間のサルベージ会社の船が無人潜水機で捜索を行い、その後、補給を行うため網走港に戻りました。
13日、再び沈没現場に向かい、行方不明者の捜索や船体の引き揚げに向けた調査を行うことにしています。
サルベージ会社では深い海を探索する「飽和潜水」の実施に向け別の作業船を現場に向かわせていて、今月中にも潜水士が「飽和潜水」をして船内を捜索する予定です。