聴覚障害者“避難所に頼れず”

「災害弱者」と呼ばれる人たちはどのように9月の地震を乗り越えたのでしょうか?
聴覚に障害のある人たちは情報もなく、避難所にも行けなかったという実態が浮かび上がってきました。

札幌市の米田幸枝さん(69)。40代で聴覚を失い、話すことはできますが両耳は全く聞こえません。
地震発生直後は、停電でテレビもインターネットも使えなくなり、情報の入手ができなくなりました。
家にとどまることを決めた米田さん。
障害のある自分が避難所に行くことにためらいを感じています。
「わからないことがあっても、みんなが大変なときに聞こえないから教えて下さいとは言い出せない。避難所に入っていけるか不安な部分はあります」と米田さんは言います。
地震前から準備をすることで自力で乗り切った人もいました。
佐々木恵子さん(72)。65歳の時に突発性難聴で両耳が聞こえなくなりました。
東日本大震災をきっかけに自力での対策を開始。
懐中電灯や飲料水、それに非常食など必要な物をそろえています。
「健常者の人には聞こえないことは理解されにくい。だったら家にいて工夫すればやっていける」といいます。
聴覚障害のある人たちはコミュニケーションをとることが難しく、外見からは障害のあることがわかりにくいことが避難所に行きにくい要因になっています。
北海道ろうあ連盟などの団体では他の人に迷惑をかけることなどを心配して避難所に行けなかったという人たちが多いのではないかと見ています。
どうやって聴覚障害のある人たちが安心して避難できる場所にするのか、取り組みが始まっています。
東京・大田区。避難所で障害のある人たちにやりたいことを示す絵や文字の入った特製のバンダナを渡すことにしています。
身につけることで手助けを求めている人いるとわかるだけでなく、コミュニケーションの道具としても使うことができます。
何がしたいですかという問いかけに対して飲みたい、食べたい、寝たい、トイレに行きたいなど絵を指し示すことで簡単に伝えられます。
大田区ではこのバンダナを5年前に導入。
災害時に避難所として使われる91のすべての公立学校に用意しています。
こうしたバンダナはあくまでも自治体が強制するのではなく、希望する人につけてもらいます。
バンダナの制作は全国に広がっていますが、大田区のようにすべての避難所に日ごろから備えているのは珍しい取り組みです。
道内でもこの動きは広まっていて、たとえば石狩市は3日から本格的にバンダナを配り始めました。
困っている人や支援の必要な人が、安心して避難所に行き、情報を得られる仕組みづくりが求められます。