○ NHKは、プラズマや液晶などの映像モニタをテレビカメラで撮影した際に発生するモアレを解消するフィルタを開発
*1)しました。
○ 放送局では、スタジオ内の大型映像モニタにさまざまな映像を表示して、その画面を撮影する「再撮」と呼ばれる演出を多く行っていますが、その際、モアレと呼ばれる干渉縞が発生することがあります。近年、家庭のテレビが大画面化、高画質化しているのに伴い、再撮映像でモアレが目立ち、見苦しくなることがあります。
○ 今回開発したモアレ解消フィルタは、光学的なローパスフィルタ
*2)の特性の高透過率フィルムと、正面からの反射を抑えるフィルムを画面サイズに応じてそれぞれのフィルムの特性を最適に組み合わせることにより実現しました。映像モニタの前面に取り付けて利用します。
○ 例えば小型の映像モニタでは、ドットピッチが細かくなるため、ローパスフィルタの特性をドットピッチの細かさに比例して強めてより高周波成分を除去することによりモアレをおさえることができます。反面、照明の反射が強くなる傾向があるため、さらに反射率の低いフィルムを組み合わせることで、再撮時に発生するモアレを解消しつつ、照明の反射も抑えることが可能になります。
○ 一般的に映像モニタを再撮する場合、カメラをズームすると干渉縞が変化し、更に見苦しい映像となりますが、今回開発したフィルタは、カメラをズームイン、ズームアウト、パン、チルト
*3)してもモアレ解消の効果があります。映像モニタに対して大きくズームでき、演出の自由度が広がります。プラズマや液晶などの映像モニタの他、パソコン画面などさまざまなモニタやサイズに対応しています。
○ 現在、NHK放送センターのニューススタジオや札幌放送局のスタジオで使用し、効果を発揮しています。
*1) |
(株)東京シスコン(本社:東京都港区赤坂)と共同開発 |
*2) |
空間周波数の高周波数成分を除去するフィルタ |
*3) |
パン:カメラを水平方向に動かす動作、 チルト:垂直方向に動かす動作 |