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◆スーパーハイビジョン用薄型ディスプレイの実現に向けて前進
〜画素ピッチ0.3mmの超高精細プラズマディスプレイパネルを開発〜
(平成18年10月2日)


○NHKは、パイオニア(株)、(株)ノリタケカンパニーリミテド、NBC(株)と共同で超高精細プラズマディスプレイパネル(PDP)を開発しました。画面のきめ細かさを示す画素ピッチを、従来の半分である0.3mmまで細かくすることが可能となり、家庭用として対角100インチ程度のスーパーハイビジョン※1薄型ディスプレイの実現の見通しを得ることができました。

○スーパーハイビジョンの超高精細映像は、ハイビジョンの16倍の画素数があります。現在、スーパーハイビジョンの展示では投写型ディスプレイを使用していますが、設置に広いスペースが必要です。家庭用ディスプレイを実現するには、画素ピッチを現在市販されている最新のPDPのさらに半分である0.3mm程度まで細かくすることが求められます。

○一方、PDPは内部に封入したガスの放電により発光させているため、画素ピッチを細かくすると発光効率が著しく低下してしまい、従来と同程度の輝度を出すと消費電力が大幅に増加するという問題がありました。

○今回、独自に開発したPDPの放電発光現象の解析用シミュレーション技術により、高いガス圧力を設定するとともに電極の幅や間隔を最適化することで、小さいピッチでも発光効率の低下を少なくできるという確証を得ました。また、試作プロセスを改善することによって、0.3mmという小さい画素ピッチのPDPでも、1lm(ルーメン)/W※2程度の実用的な発光効率が得られることを実証しました。

○今回試作したPDPは、対角サイズ6.5インチ、画素数480(横)×270(縦)ですが、今後は、さらなる高効率化を進めると共に、放電制御の高速化の検討を進め、対角100インチクラスのスーパーハイビジョン用ディスプレイの実現を目指していきます。



PDPの構造


3次元放電シミュレーションの例
(微細な画素における放電の状況を立体的に把握できる)


画素ピッチ0.3mm対角6.5インチパネルの画像表示


※1 スーパーハイビジョンは、NHKで開発している将来のテレビシステムです。走査線数4320本・毎秒60フレームの超高精細映像と22.2マルチチャンネル音響で構成されています。映像フォーマットはITU(国際電気通信連合)により大画面映像の国際標準として、2006年7月19日に承認されました。 
(ITU-R BT.1769 “Parameter values for an expanded hierarchy of LSDI image formats for production and international programme exchange”)

※2 発光効率の単位で、1ワットの消費電力に対して画面から放出される光の量(ルーメン)を表す。ブラウン管ディスプレイでは5lm/W程度、現在のPDPでは1〜2lm/W程度と言われている。
 
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