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◆ハイビジョンIPマルチキャストに新技術
〜IPネットワークを用いたコンテンツの大規模・同時配信の実現に向けて〜
(平成18年2月13日)


○ NHKは、(株)KDDI研究所と共同で、IPマルチキャスト*によるハイビジョン映像の高信頼配信に向けて、新方式の送信サーバ速度制御技術と回線障害時のリカバリー技術を開発しました。開発した新技術の公開実証実験を2月20日に(株)KDDI研究所(埼玉県ふじみ野市)で実施します。

○ 従来のIPマルチキャストでは以下の2つの課題がありました。
(1) データ送信速度の制御
   IPマルチキャストでは、ネットワークおよび受信端末において配信データの滞留や廃棄が発生しないように、送信サーバからのデータの配信速度を制御する必要があります。従来は、映像コンテンツに含まれる時刻情報を基準に制御しているため、暗号化されたコンテンツなど時刻 情報を容易に抽出できないものについては速度制御が困難でした。
(2)回線障害時のリカバリー
   ネットワーク内で障害が発生した場合、ルータが自動的に適切な迂回経路を選択して中継を再開しますが、ルータによる回線障害チェックは間欠的に行われるため、障害発生から中継再開まで数秒間は、受信側の映像再生が中断する問題がありました。

○ 今回開発したシステムでは(1)について、送信側に適正な配信速度を通知するための参照端末を設置し、この端末が破綻なく映像再生をできるようにサーバの配信速度を決め、受信端末向けにデータを配信します。これにより、時刻情報に依存しない速度制御が可能となりました。

○ (2)については、配信状況の監視装置をネットワーク内に設置することにより、障害発生時には瞬時に迂回経路を構成して中継を再開できるようになりました。さらに再開までの欠落部分を補填するためのバックアップサーバを送信側に備えることで、受信側では無瞬断で映像再生を継続することが可能になりました。

○ NHKは今後も、放送と通信を連携させたサービスの高度化を目指して、IPマルチキャスト配信システムをはじめとした、IPネットワーク活用技術の研究・開発を進めていきます。

※ IPマルチキャスト:IPネットワークを用いて多数の受信者に効率よくデータを配信する技術で、IP放送などで用いられる。


図1 一般的なIPマルチキャストによる映像配信システム


図2 開発した配信システム (通常配信状態)


図3 開発した配信システム (回線障害のリカバリー中)





 
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