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◆小型で超高感度なHEED冷陰極HARP撮像板を開発
〜照明いらずの小型超高感度カメラの実現へ〜
(平成17年5月19日)


○NHKは、パイオニア(株)と共同で、夜間に発生した地震などの災害や事件、事故の緊急報道に威力を発揮する小型超高感度カメラの実現に向けた新たな撮像デバイス「HEED*1冷陰極HARP*2撮像板」の開発に成功しました。

○HEED冷陰極HARP撮像板は、超高感度なHARP膜に、アクティブ駆動型HEED冷陰極アレーを向かい合わせた構造の撮像デバイスです。これまで超高感度HARPカメラには長さ約10cmのHARP撮像管が使われていましたが、今回開発した撮像板を用いると、厚さ約1cmの小型カメラを実現できます。

○HARP膜は、入射した光を電荷に変換し、この電荷を同じ膜内で増倍する高感度な光電変換膜です。大きな電荷増倍率を得ることができる厚いHARP膜を適用することで、月明かり程度の明るさで鮮明な映像が得られる高い感度を実現しました。

○HEED冷陰極アレーは、低い駆動電圧で安定に電子を放出するマトリックス構造の平面状の電子源です。このHEED冷陰極アレーと、実装時の配線が少なく、アレーの高速駆動が可能なアクティブ駆動回路との一体化を実現することで、これまでの冷陰極撮像板の課題であった高精細化に見通しを得ることができました。

○今回開発したHEED冷陰極HARP撮像板の画素サイズは50×50μm(マイクロメートル)、画素数は約5万画素(256×192)です。今後、画素をより小さくして画素数を増やすことで、早期実用化を目指します。

○このHEED冷陰極HARP撮像板は5月26日から29日まで開催するNHK放送技術研究所の一般公開で展示します。

*1 HEED: High-efficiency Electron Emission Device, パイオニア(株)開発
*2 HARP: High-gain Avalanche Rushing amorphous Photoconductor,
NHKと浜松ホトニクス(株)の共同開発



図1 HEED冷陰極HARP撮像板の構造



図2 HEED冷陰極HARP撮像板の外観写真

 
表1 仕様
有効撮像領域 12.8×9.6 mm
画素数 水平256×垂直192
画素サイズ 50×50 μm
感度 CCDの約20倍
駆動方式 冷陰極アレー内蔵アクティブ駆動方式


 
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